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OceanDAOの投票機能の改善:QV、デリゲーション、マルチチェーン

OceanDAOの投票機能の改善:QV、デリゲーション、マルチチェーン

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1. イントロダクション

OceanDAOは、Ocean Protocolのエコシステムのためにコミュニティがキュレーションする助成金を提供するためのDAOです。毎月の助成金ラウンドでは、価値提供のアイデアを持つ人々が提案し、コミュニティがその提案に投票し、対象となった提案が資金を受け取ります。

OceanDAO内の「Parameters & Roadmap」ワーキンググループの指導のもと、OceanDAOエンジニアリングチームは、すべての参加者にとってキュレーションがアクセス可能で公平なものになるよう取り組んでいます。

この投稿では、OceanDAOの投票メカニズムに関する改善状況について説明します:

2. 二次投票(QV) — 小規模なトーク保有者の発言力の向上

二次投票(QV)は、以下の2つの問題を解決します。

課題1:トーク保有者の力は、シンプルな公平性に重きを置くためにこれまで保有量に関係なく1トークン1票でした。これは結果として、OCEANの大規模保有者(クジラ)に大きな力を与えることになっています。つまり、小規模なOCEANホルダーは自分の発言力が弱いように感じてしまいます。これはコミュニティの関与を促進させるには逆効果です。1人1票という民主主義の理想を追求するのか、しかし一方で、OCEANの保有量はこのプロトコルへの強いシグナルにもなります。このバランスをどうとるか?

課題2:既存プロジェクトとの競争。参入間もないプロジェクトは、多くの大規模なOCEAN保有者から継続的な支持を集めており、設立間もないプロジェクトが競争することは難しい。

私たちは、2つのメカニズムでこの問題に対処します:

解決策1:プリファレンス・シグナリングの導入。まず、ある投票者は自分の保有するOCEANを、プロジェクトの提案に割り当ます(YesまたはNoに投票する、またはしない)ことができる。これは独占的に投票されるのではなく、投票者の好みを幅広く示すことができる方法として機能します。すでにこの方法を数ラウンドにわたり採用しており、機能しています(詳細はこちら)。

解決策2:Sqrt()。sqrt()関数は、提案に対する投票者のOCEANの配分に適用されます。これは、クジラの影響を和らげます。私たちはこれをOceanDAO Round 14で展開しました。下の表はこの関数による影響の例です。

上記の1と2の組み合わせは、二次投票(QV)と呼ばれています。

もしあなたが小規模なOCEAN保有者である場合、複数のプロジェクトに投票することができ、確かな影響を与えることができます。もし、あなたが参入まもないプロジェクトである場合、投票者は付加価値の高い他のプロジェクトにも目を向けて投票するように動機付けられるため、より多くの支援を受けられる可能性が高くなります。

3. BrightIDと投票ブースト — シビルアタックへの対応

課題:シビルアタック。二次投票に潜在的な攻撃ベクトルがあることにお気づきでしょうか。それは「シビル攻撃」別名クローン攻撃と呼ばれるものです。

この攻撃では、参加者は自分のOCEANを10または20以上の小さなウォレットに分散し、それぞれから別々に投票します。「自分自身のクローン」を作るのです。これにより、参加者は関数の影響を回避しながら、自分のOCEANを使ってより高い総投票インパクトを持つようにすることができるのです。

シビル攻撃は、1トークン1票を超えるシステムでのみ問題となります。したがって、QVの採用以前は問題ではありませんでしたが、QVシステム導入後は問題となります。

解決策:「BrightID」の採用によるアプローチでシビルアタックの影響を軽減させることができます。このアプローチでは、「あなたがユニークな(固有の)人間であることを示す場合にのみ投票できる」という考え方になります。EthereumアドレスとBrightIDのIDを結びつけることで、ユニークな人間であることを示すことができます。BrightIDとリンクしたウォレット(証明済みのウォレット)で投票すると、400%のVoting Boostを得ることができます。

BrightIDの証明手順を簡単にするためにポータルを実装しました。

注意点として、1つのBrightIDと関連するVoting Boostには、1つのウォレットしか関連付けることができません。

4. Vote Delegation — より多くの情報に基づく投票

課題1:質の高い投票のために高い労力が必要となる。OceanDAOラウンド14には35件の助成金提案がありました。質の高い投票をするために全てのプロジェクトについて十分な情報を得るには、数時間かかってしまうと考えられます。これは大きな時間的コストであり、多くの人は単純にその時間を割くことができません。つまり、投票の質が低下します。

課題2:一つのウォレットしか使用できない。多くの投票者は、複数のウォレットにまたがってOCEANを保有しています。しかし、Voting BoostはBrightIDに関連付けられた固有のウォレットにしか適用されません。これをどのように調整すればよいでしょうか。

委任投票制度は、この2つの問題に対処します。これは、忙しい人がより多くの情報を持つ信頼できる人に自分の代わりに投票することを可能にし、複数のウォレットを持つ人が委任先のVoting Boostsの恩恵を受けることを可能にします。

OceanDAOラウンド15では、委任投票制度を導入します。参加者は自分の投票権を他のウォレットに委任することができるようになります。

解決策1:投票権の委任とは、他の誰かに自分の代わりに意思決定をしてもらうということです。たとえ自身が各提案プロジェクトの内容に精通していなくても、投票するためにより多くの詳しい情報を得ている人に投票権を委任することで、質の高い投票が担保されます。これにより、投票の質を高め、投票への参加者数を増やすことができると期待しています。

解決策2:BrightIDでないウォレットから認証済みのBrightIDウォレットに投票を委任することで、より容易に投票力を活用できることを意味します。

以下の手順で投票を委任することができます:

  1. 投票アカウントから0xウォレットアドレスを取得する。
  2. スナップショットポータルに入る
  3. 委任先を特定のスペースに指定することができます。下の例では、投票権の委任先を次のように指定しています:officialoceandao.eth
  4. 最後に「Confirm」をクリックすると、投票権が委譲されます。
スナップショットの投票デリゲーションポータルサイト

今後の利用方法:この機能をリリースすることで、OceanDAOコミュニティがOcean Ecosystem内の健全なデリゲートを構築・活用できるようになることが期待されます。

コミュニティがこれをどのように進めていくかのアイデアとしては、Gitcoinの「Steward Report Cards」のようなデリゲート用のポータルを確立することなどがあります。これにより、誰でもOceanエコシステムのスチュワードを発見したり、自身を登録したりすることができ、OceanDAO内部での良い意思決定の促進が可能になります。

Gitcoin’s Steward Report Cards

5. マルチチェーン投票

課題:OceanはEthereumメインネットにデプロイされていますが、このメインネットではガスコストの高さが懸念されています。この問題に対処するため、OceanはPolygonのようなガスコストの低い他のネットワークにもデプロイされています。課題は、これらの他のネットワークのOCEANとプールのトークン所有者が、そのネットワークから投票できないことです。投票するためだけにトークンをEthereumメインネットに移動する手間は除去する必要があります。

解決策:PolygonとBSCからの投票を可能にする。OceanDAOラウンド15の時点で、Polygon(Matic)チェーンとBinance Smart Chain(BSC)のOCEANとdatoken pool token(BPT)の保有者は、OCEANとBPTで投票することが可能になりました。注:ラウンド15の時点では、他のOcean展開ネットワーク(Moonriver、EWC)からの投票はサポートしていません。今後、サポートネットワーク・リストを増やしていく予定です。

以下のようになります:

  • このアップデートは、これまで動作していたもの全てに対応します
  • PolygonとBSCのOCEANは、Voting Powerにカウントされます
  • PolygonとBSCのデータトークンプールトークン(BPT)にステークされたOCEANは、Voting Powerにカウントされます
  • PolygonとBSCの中でVoting Powerを委任することができます
  • QVの項目で説明したように、sqrt()式が適用されます
  • 一度だけ投票すれば、合計したVoting Powerが展開されます

6. まとめ

この投稿では、OceanDAOの助成金のキュレーションに関する最近の改善点について説明しました。二次投票、シビル・トレランス、投票の委任、マルチチェーン投票について、OceanDAOエンジニアリングチームは、Parameters & Roadmap WGのガイダンスに基づいて、これらを実装しました。

チームは、さらなる成長を促進し、資金調達プロセスをより身近なものにするために、今後も時間をかけて改善を続けていきます。

OceanDAOについては、ウェブサイトWikiをご覧になると、より詳しく理解いただけます。

Ocean Protocolについて

Ocean Protocolのミッションは、世界に広がるWeb3データエコノミーを始動させ、データの所有者にその所有権を取り戻し、人々がデータから本来得るべき価値を獲得してより良い世界を築き上げていく事です。

データは新たな資産クラスであり、Ocean Protocolはその価値を引き出します。データの所有者と消費者は、Ocean Marketアプリを使用して、安全でプライバシーが守られた方法でデータ資産を公開、発見、消費できるようになります。

Oceanのデータトークンは、データをデータ資産に変えます。これによりウォレットや取引所、その他のDeFiツールを活用して、データウォレット、データ交換、データ協同組合を実現します。プロジェクトは、OceanライブラリやOCEANを自分のアプリで使用し、Web3データエコノミーの推進に貢献していきます。

Oceanトークンは、データへのステーク、Ocean Protocolのコミュニティへのステーク、データの売買に使用されます。Oceanトークンの供給は、短期的な成長と長期的な持続性を促進するために時間をかけて分配され、利用量の増加に応じて増加するように設計されています。

詳しくはoceanprotocol.comをご覧ください。

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