Web3が次世代ゲームにもたらす体験の向上とは
世界のゲーム人口は30億人を突破し、その市場規模は2800億ドルに達しました。ゲーム業界は、映画業界と音楽業界の合計よりも大きな規模になっています。人気ゲームは映画化され大ヒットとなり、ゲームコンテンツはYouTubeやTwitchを既に席巻しています。
ゲームの不公平な経済性
無料で誰でもゲームを開始することができる一方で、有料アイテムの購入を促すF2P(フリー・トゥ・プレイ)モデルは、大きなパラダイムシフトとなりました。F2Pは、ソーシャルメディアやコンテンツのモバイル化の波と融合し、業界の爆発的な成長を支える重要な要素となりました。ゲーム内課金とは、ユーザーにとってのゲームプレイやパフォーマンスの向上を目的としたもので、ゲーム開発者にとっては非常に有効なビジネスモデルとなり、業界の急成長を支える要因となりました。このモデルは、一般的にP2W(ペイ・トゥ・ウィン)と呼ばれています。
P2Wがゲームバランスの観点から正当化されるのかという議論はあるものの、多くのプレイヤーがP2Wの存在を受け入れています。ユーザーは、オンライン上で築いた社会的なつながりや、ゲームに費やした時間や金銭的コストを考慮した場合に、好きなゲームを簡単にやめることができなかったのです。
ゲーム企業はこの心理を利用し、自社の利益のために、1%のプレイヤーが販売量の50%以上を占めるという歪なエコシステムを作り出しました。その結果、開発者は上位1%を満足させるか、残りの99%のプレイヤーを満足させるかの選択を迫られているのが現状です。どちらを選択しても、一方からの不満は避けられず、開発者は苦境に立たされることになります。
オンラインゲームの原動力は、プレイヤーの「遊びたい」「交流したい」という強い欲求です。オンラインゲームのコミュニティは、参加メンバーの特性を反映した多様で色彩豊かな文化を生み出しています。このユニークで有機的な文化を創造・育成するために、ユーザーは自分たちのルールを確立し、それを強化することによって、アクティブな社会経済構造が形成されているのです。
人々は、本当の自分の代理的な存在としてアバターを使い、仮想空間に集まって交流します。そして、空想の中でしかありえない冒険をし、非日常的な目標を達成するのです。その際、ユーザーは自身のキャラクターやスキルに合わせて、様々な協力や競争に取り組んでいきます。
プレイヤー自身が新たなコンテンツとなることで、そこに無限の可能性が生まれているのです。
オンラインゲーム(特にMMO RPGのジャンル)は、現実社会の縮図と言えます。ゲーム自体が社会性を帯びており、現実の感情や体験をインパクトのある形で仮想世界に投影するものとなっています。実生活で経験する社会問題が、ゲーム内で再現されることも少なくありません。
例えば、特定のステータスが足りないとギルドに入れないというのは、現実の世界で資格がなくて就職できないのと似ています。また、最高レベルまで成長し、最高のアイテムを手に入れたプレイヤーが徐々にプレイ時間を減らし、ゲームから去っていく様子は、老後の引退と重なります。
所得格差や富の不平等は、ゲームでも起こります。これによってゲーム経済の方針を設定する場合、二つの悪のうちどちらを選択するかの決断を迫られることになります:
- ゲームのバランスを崩してでも、ヘビーユーザーに多くのアイテムを売って利益を上げる。
- 新規ユーザーに負担をかけずに、より多くの特典を提供し、ユーザー数を増やしてゲーム自体の寿命を上げる。
Web3は、このような問題を分析し解決するためのツールを提供します。
Web3は、開発者やユーザーが実際にそれを信頼するかどうかに関わらず、信頼できるオンチェーンデータを提供します。
また、オンチェーンデータを有効活用するための重要なユースケースも提供します。
透明性の高い経済データが信頼を構築する
お金(フィアット)とゲーム内通貨は、どちらも価値の尺度として、また交換の媒体として機能します。価値の貯蔵としてのお金は現実の経済を測る絶対的な尺度であるのに対して、ゲーム内通貨はユーザー間の富を測る相対的な尺度として機能します。
オンラインゲーム内の現実はソフトウェアによって決定されるため、ゲーム内の経済システムの変更は技術的には何ら難しいものではありません。例えば、あるレベルのゴールドの価値を下げてバランスを調整したり、ユーザーによるアイテムの強化システムを活性化させるために強化コストを下げたりと、ゲーム内通貨を中心にシステムを調整することが一般的になっています。
しかし、こうしたプロセスは完全に非公開であり、開発者のみが決定に関与するため、信頼性の問題は避けられません。ゲーム内のアイテムや資産の供給や流通を、一度稼働したら特定の誰かが介入しにくい仕組みでコントロールし、その結果をオンチェーンで記録しする形で透明性をもって情報提供すれば、ユーザーはゲームエコノミーを全面的に信頼することができるようになるはずです。そうすることで、ユーザーの資産は正確な経済データとその後の経済活動を反映し、その価値をより正確に判断することができるようになるのです。
ビットコインは、人と人との信頼に代わる技術として生まれました。ブロックチェーン技術をゲーム内通貨だけでなく、ゲームシステム全体に導入することで、私たちは持続的に成長・機能するエコシステムを構築していきたいと考えています。
トークンの需要がトークンの供給を決定する
ゲーム内の特定のクラスが意図的にパワーアップされたり、ボットで養殖されたアイテムが市場に溢れることでバランスが崩れると、ユーザーは不快なゲーム体験を強いられることになります。この問題を構造的に解決するために、web3の概念がゲームに取り入れられるようになりました。web3ゲームは開発ロードマップを公開し、トークノミクスで約束したとおりにゲーム内の経済を運営しています。しかし、いずれもゲームにおける将来の需要を正確に予測することはできていないのが実状です。
トークンは、実際の需要とは関係なく、あらかじめ決められた量だけがゲームに供給されていきました。その結果として、あるケースでは、ゲーム資産が高騰しすぎて、新規プレーヤーがゲームに参加できなくなりました。また、逆にゲーム資産の価値が低下しすぎて、ゲームに面白さや手ごたえが感じられなくなり、プレイヤーが離れていくケースもあります。どちらのケースでも、プレイヤー離れが実需を減らし、結果としてトークン価格が下落し、デススパイラルが発生することで、ユーザー及びトークン保有者に悪影響を及ぼすことになりました。
持続可能なゲーム経済を実現するためには、実需の変化に応じて柔軟にトークンを供給していく必要があります。そのような基盤があれば、ユーザーの離脱が減り、継続的なユーザー流入が可能になります。
ゲーム内トークンの需要は、アイテムのドロップ数やクエストのクリア数などのデータから把握することが可能であり、プレイ状況によってある程度予測をすることができるのです。
このモデルについては、次回のトークノミクスの記事でさらに詳しく解説します!
全ての人に公平なスタートをもたらす
新規参加者が、自身の参加よりずっと早期にゲームに参加したプレイヤーと同じ環境で競争することは困難です。しかし、これには解決策があります。スタートラインを調整し、同じようなステータスのプレイヤー同士で競わせることで、プレイヤーのモチベーションを高めることができるのです。
一定期間ごとに新サーバーをオープンし、同じ時期にゲームを始めた人と遊べるようにすれば、公平なスタート環境が整うでしょう。また、各サーバーによってクエストの難易度や獲得報酬が異なるため、最終的には自分のニーズに合ったサーバーに移行していくことになります。
誰もが公平に、自分のペースでゲームをプレイすることができるのです。
Web3の活用:貢献者へのインセンティブの付与
技術の進歩によって、ゲーム制作はより簡単に、より高いコスト効率で行えるようになりました。また、ゲームの配信もオンラインストアから常時ダウンロードできるようになり、新しいゲームコンテンツへのアクセスも容易になりました。しかし、時間という資源は誰にとっても1日24時間の有限なものであり、いくら消費したいメディアがあったとしても、現実的な需要には限界があります。また、ゲームソフトは常に供給され、プレイヤーの時間と注目を集めるために熾烈な競争を繰り広げています。
このような環境の中で、多くのゲーム開発者は、ユーザーからの収益を最大化するための方法として、多額の課金をするユーザー層の優遇を選択しました。このやり方では、大多数のユーザーが望まないアップデートを受け入れなければならないか、結果としてゲームから離れてしまうことになり、持続可能であるとは言えません。
ゲーム業界における無限のビジネス競争の中で、どうすれば生き残ることができるのか。そのヒントがストリーミング配信の市場にありました。ストリーミング市場では、個人のコンテンツクリエイターが制作した低予算のコンテンツが、大手スタジオや制作会社が制作した大予算のコンテンツに勝ることが多いのです。これは、ストリーマーがファンと積極的にコミュニケーションをとり、ファンが求めるコンテンツを制作することで、オンラインコミュニティに本質的な価値を提供しているからこそ生みだされる現象です。
特にWeb3領域では、エコシステム内の参加者に所有権と利益を確保するシステムを提供するという概念が一般化されているため、この点で大きな可能性を秘めています。
METAPIXELでは、コミュニティへの参加や貢献、ユーザーとMETAPIXELの活発なコミュニケーションに対してインセンティブを与えていきます。これによって、オープンなコミュニケーションを通じて、ユーザーのニーズを真にサービスやコンテンツに反映させることができるようになります。また、ユーザー自身が気づいていなかったニーズを発見することもできるかもしれません。
METAPIXELは、参加者が主役のゲームプラットフォームとして、web3の技術とweb3の精神で、ユーザーをエンパワーするエコシステムを目指して、開発に取り組んでいきます。