Polkadotのオープン・オラクル・ゲートウェイの紹介

Open Oracle Gatewayは、Acala、Karura、Polkadot、Kusamaなどのエコシステムに、オープンで包括的かつ分散化されたオラクルサービスを提供します

Acalaのこれまでのオラクルへの取り組み

これまでAcalaは、借り入れ能力や清算リスクの評価などのオンチェーンオペレーションのためにオフチェーンデータを調達する複数のオペレーターノードを備えた独自のオラクルネットワークを運営していました。Acalaチームは、このインフラストラクチャを以下の機能によりDeFiアプリケーションの特定要求を満たすように設計しています：

複数のオペレーター：Acalaのオラクルプロバイダーネットワークは、複数のノードからのデータフィードを受け入れ、アグリゲーターがデータを1つの価格にまとめて攻撃要因を低減します
サービスの質：オラクルのオペレーションは、ネットワークの状態（混雑など）に関わらずブロックに含まれる優先度の高いトランザクションとして分類されるため、プライスのフィードは最小の遅延でより信頼性の高いものとなります
カスタマイズ可能な料金：有利な料金体系（例：価格フィードを無料にすることができる）やDDoS攻撃対策を実施し、例えば各プロバイダーから1ブロックあたり1回の呼び出しを許可することで、セキュリティを確保しつつコスト効率を維持しています
漸進的な分散化：初期段階では、セキュリティと予測可能性を最大限に高めるために、オラクルプロバイダーは認可されたホワイトリストに登録されますが、時間の経過とともに徐々にパーミッションレス、トラストレスに移行していきます

現在、他のオラクルプロバイダーはオペレーターノードを稼働させることで、独立した価格フィードを提供することができますが、1つのオラクルネットワークしかサポートしていません。信頼性が高く、正確で分散型のオラクルを提供するという課題は、Acalaだけでは解決できるものではありません。AcalaがDeFiのハブであり、PolkadotやKusamaなどのより多くのクロスチェーンのDeFi DAppsを動かすプラットフォームであることを考慮すると、業界の他の主要なプロジェクトと一緒に、よりオープンで包括的な分散型のオラクルのインフラを作ることが重要になります。

前進 — オープン・オラクル・ゲートウェイ

今日、Acala、Laminar、Band Protocolの各チームが技術的に協力して開発したOpen Oracle Gatewayは、Polkadotのエコシステムにおいて、オープンで包括的な分散型のOracleネットワークを構築するというビジョンに向けた重要な一歩となります。ゲートウェイは次のようなものを提供します：

複数のオラクルネットワーク
ゲートウェイは、Acalaに加えて複数の関係者が独自のオラクルネットワークを運営し、価格フィードサービスを提供することを可能にします。基本的には、どのオラクルサービスプロバイダーも、新たなネットワークプロバイダーを設定することができ、ガバナンスの承認を経て、ランタイムアップグレードによって実現することができます。ノードオペレーターは、この新しいネットワークのためにセットアップを行い、オフチェーンデータのAcalaへの投稿を開始することができるようになります。これらのデータフィードは、ゲートウェイを介して消費者が利用できる単一の価格フィードに集約されます。

デフォルトのオラクル・パレット（プロバイダー）はこちら。

オラクルネットワークプロバイダーは、（デフォルトのオラクルパレットをベースにした）独自のオラクルパレットを実装して、クロスチェーンデータフィードの検証など、特定の要件を満たすことができます。また、Coinbase Providerのパレットを追加してその署名を検証するだけで、Coinbase price oracleなどの既存の署名付きオラクルAPIと簡単に統合することができます。

ゲートウェイは本質的に、オラクルネットワーク／アグリゲーターのメタネットワーク／メタアグリゲーターであり、サービスプロバイダーのエコシステムを促し、アプリケーションの様々なニーズを満たすために差別化されたサービスを提供します。

Acalaのネットワークは、徐々に分散化を進め、そのガバナンスはPoA（任命型の評議会のガバナンス）から始まり、選挙型の評議会のガバナンスへと進化し、最終的には完全な民主主義へと発展していく予定です。

選択による価格フィード

DAppsは、自分の好みに応じた特定のプロバイダーの価格フィードを使用することができます。また、全てのプロバイダーのデータを統合したフィードを利用することもできます。DAppsは、個々のノードオペレータから生のデータを取得し、それらを自分でアグリゲートすることもできます。アグリゲーターはさらにカスタマイズすることができ、データ消費者は中央値や平均値など、好みの方法を選択することができます。

サービスの質と無料フィード

Acalaに投稿される価格フィードは、どのプロバイダーネットワークに属しているかに関わらず、全てQuality of Serviceが提供されます。オペレーターにより送信されたトランザクションはオペレーショナルトランザクションであり、システムクリティカルなトランザクションは優先的にブロックに含まれることが保証されています。これにより「Black Thursday」のように、ガス料金の高騰やネットワークの混雑によって、価格フィードが無効化されたり、機能しなくなることを防ぎます。

さらに、有効なフィードには発生した取引手数料が返金されます。これによりスパムを防ぎ、整合性を確保しながら、オラクルフィードを実質的に無料にすることができるのです。有効なフィードは、承認された運営者によって署名・投稿される必要があり、同じ運営者によるトランザクションは1つのブロック内で1回のみ許可されます。

プロジェクトの現状と次のステップ

Open Oracle Gatewayが、Acala、Polkadot、Kusama、そしてクロスチェーンのDeFiエコシステム全般にとって、共通の良いインフラになることを願っています。そのために、私たちは全てのオラクルサービスプロバイダーがゲートウェイのソースコードをチェックし、統合について議論され、コードベースに貢献し、成長を続けるエコシステムにあなたのサービスを導入することを歓迎します。

・Acalaのテストネットで稼働しているOracleネットワークの例
・Acala Oracle Operatorがオンチェーンで価格をフィードしている例

集計された価格のフィードは計算値で、acala.jsを使ったRPCコールで読み取ることができます。

今後は、プロバイダーやそのオペレーターのメンバーシップなどをオンチェーンで決定するために、別途Oracle Council（オラクル評議会）を設置する可能性があります。Acalaネットワークの分散化が進むにつれ、ゲートウェイもさらに分散化されていきます。Acalaチェーン上でカスタマイズ可能なチェーンロジックと経済政策により、オラクル経済モデルとオンチェーンペイメントメカニズムの設計空間は膨大なものとなっていくでしょう。私たちはその表面を整えているに過ぎません。

Open Oracle Gatewayへの参加

Open Oracle Gateway自体は、誰もが拡張・改良できるインフラとして設計されています。開発者やオラクルサービスプロバイダーの方はOpen Oracle Gateway Wikiをチェックし、Discordでの議論に参加してください。

Defi分野でのキャリアに興味がある場合はこちらの募集要項をご覧ください。

こちらの記事はPolkadotのブログにも掲載されています：

Introducing the Open Oracle Gateway for Polkadot
The Open Oracle Gateway provides open, inclusive and progressively decentralized price oracle services to the ecosystem…medium.com

Karuraついて

Karuraは、KusamaのオールインワンDeFiハブです。Acala Foundationによって設立されたKaruraは、DeFiに最適化されたスケーラブルなEVM互換のネットワークとして機能します。

また、このプラットフォームでは、以下のような融アプリケーションを提供しています：トラストレス・ステーク・デリバティブ（liquid DOT）、クロスチェーン・アセットに裏付けられたマルチ担保のステーブルコイン（aUSD）、AMM DEX — これらはすべて、任意のトークンでの支払いが可能なマイクロ・ガス・フィーシステムを備えています。

Acalaについて

Acalaは、Polkadotの分散型金融ハブであり、金融アプリケーションの利用や構築を迅速かつ容易にし、取引効率を向上させ、貴重な時間の節約を実現します。このプラットフォームでは、一連の金融プリミティブを提供しています。ビットコインのようなクロスチェーン資産に裏付けられたマルチ担保のステーブルコイン、信頼性の高いステーキングデリバティブ、そして流動性を解放し、金融イノベーションに力を与える分散型取引所です。
Acalaは、金融アプリケーションがスマートコントラクトや内蔵プロトコルを使用するためのデファクト・オープン・プラットフォームであり、すぐに使えるクロスチェーン機能、セキュリティ、金融の最適化を備えています。PolkadotとKusamaでのAcalaパラチェーンのローンチの進捗状況を知りたい方は、Acala Newsletterをご購読ください。

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