Ocean Data Farming(データファーミング)がローンチ
2億1600万ドル規模のOcean of Dataプログラム、最大125%の年利で利用可能
1. はじめに
いよいよOcean Data Farming(DF)が開始されます。DFはOceanのエコシステムにおけるデータ消費量の増加に対してインセンティブを与えるものです。まず、流動性プロバイダーをプールするOCEANに、消費量と流動性の関数として報酬を与えます。これは、DeFiにおける流動性マイニングのようなものですが、データ消費用にカスタアイズされています。
その目的は、ネットワーク効果を発揮するための最低限のデータ供給を実現し、ネットワークのフライホイールを機能させることによって、成長率を高めることにあります。
DFには以下のフェーズがあります:
- DF Alpha:6月16日より集計開始。毎週末、前週の活動に対して10K OCEANが報酬として与えられます。期間は4週間で、その目的は技術のテスト、学習、データパブリッシャーのオンボードです。
- DF Beta:7月14日より集計開始。報酬は1週間あたり最大100K OCEANで、最大20週実施される予定です。目的は、より大きなインセンティブの効果のテスト、学習と技術の向上です。期待APYは125%となっています。
- DF Main:DF Betaの直後に実施し、報酬は1週間あたり最大718K OCEANとなります。数十年間にわたり実施され、少なくとも合計2億1570万オーシャンがコミットされています。期待APYは、数ヶ月間にわたり125%で推移し、長期にわたって持続的に機能する形で推移します。
この記事は以下のように構成されています。このあとのセクション2では、報酬機能について説明します。セクション3では、獲得方法についての説明。セクション4では、DFのフェーズと将来の進化について詳しく説明します。セクション5では、OCEANのリリースに対するAPYと期待APYについて説明していきます。セクション6の結論でまとめとなります。
2. 報酬機能情報
2.1 誰が報酬を受け取れるのか
全てのプール流動性供給者(LP)が、報酬メカニズムに基づいて受け取ることができます。
2.2 報酬機能
あるプールに対してLPに支払われる報酬は、LPの流動性とそのデータセットがどれだけ消費されたかに依存します。以下は報酬関数です:
RFij= Sij * Cj
- RFij = プールjでLP iに支払われる相対的な報酬
- Sij= LP iのプールjに対する相対的なステーク額 = (LPのプールjに対するステーク額) / (プールjに対する総出資額)ベーストークンとしてOCEANまたはH2Oを持つプールを考慮し、$で表現しています。
- Cj = プールjのデータ資産の消費量、その資産を持つプールへの分散 = (データトークンjの価格($ベース)) * (1週間の消費数) / (そのデータ資産を持つプール数)
参加者はRFijに従って比例配分で報酬を受け取ります。フェーズごとにリリースされる最大値に従って、APY≦125%になるように、毎週報酬を受け取るOCEANの上限が設定されています。
報酬は、各プーるのデータ消費量に応じて多ければ多いほど、報酬は多くなり、また、ステーク量が多いほど、報酬も多くなります。報酬を最大にしたい場合は、人々が役に立つと感じ、消費されるであろうプールを作成するか、または発見することが鍵となります。
2.3 適格プール
DF報酬を受け取るのは、データプールであり、ここには与えられたデータサービスに対するOCEANのデータトークンが含まれます。このデータサービスは、データセット(静的URI)でもアルゴリズム(Compute-to-Data)でもかまいません。
DFの対象となるには、データプールは以下の基準に従わなければなりません:
- 資産とプールは、Oceanのスマートコントラクトによって作成されOPFによって本番ネットワークにデプロイされている必要がある
- 資産とプールはOcean Marketで公開されていなければならない
- プールはベーストークンとしてOCEANまたはH2Oを使用する必要がある
- 資産が煉獄(purgatory)であってはならない
3. DFでの収益化方法
DFで収益を上げるには、(1)種まき、つまり流動性を提供し、(2)収穫、つまり報酬を獲得する必要があります。この章では、その詳細を説明します。
3.1 LPの方法
DFの報酬を得るためには流動性を提供する必要があります:
1a. Ocean Marketにアクセスする
1b. 消費量がある(消費が見込まれる)データアセットを探す
1c. 流動性を提供する
3.2 報酬の請求方法
毎週のサイクルの終わり(木曜日)に、DFコアチームはこのコードを使ってLPの報酬を計算します。報酬はOceanがサポートする各ネットワーク(Eth、Polygon、etc.)に配備されたクレームコントラクトに送られます。
LPとして、報酬を請求する方法は以下の通りです:
2a. DF webappのClaim Portalにアクセスする
2b. ウォレットを接続する
2c. ネットワークを選択し“Claim”をクリックし、TXに署名して報酬を取得します
報酬は数週間にわたって蓄積されますので、自由に報酬を請求することができます。また、毎週請求すれば、報酬を再取得して、複利の利益を得ることができます。
4. DFのフェーズと進化
このセクションでは、DFのフェーズと、DFがどのように進化していくかを説明します。
4.1 フェーズ DF Alpha
このフェーズでは、比較的少ない報酬が分配されます。このように設定されているのは、第一の目的が全員が学ぶことだからです:
- DF Coreチームは、DFプロセスの問題を特定し、大きなステークを導入する前に解決します。
- データパブリッシャーはデータセット(とプール)を公開し、そのデータの消費者を見つけます。
- データファーマー(対象プールにステークする人)は、データファームのプロセスについて学び、報酬がどのように受け取られるかを把握することができます。
4.2 フェーズ DF Beta
DF Betaの目的は、より大きなインセンティブの効果をテストし、技術を学び、改良することです。
最低でも10週間、最大で20週間実施予定です。報酬は1週間あたり最低10K OCEAN、最高100K OCEANとなります。
DFコアチームは、これまでの学習をもとに、毎週その額を決定していきます。目的は、システムを悪用する行為者ではなく、有益な方法でデータ消費量を促進する活動に、効率的にOCEANを割り当てることです。私たちは、100K OCEANまで素早く成長させ、最短時間で完了させたいと考えています。
4.3 フェーズ DF Main
DF Mainは、ステークが超高額になるまで125%のAPYを与えるように設計されており、以下に述べるビットコインのものに類似した曲線に従って上限が設定されています。125%の年利(APY)は、1.57171%の週間利回り(WPY)を意味します。したがって、1週間に配布されるDF報酬の合計=min(curve_amount, total_staked * WPY)となります。
ここで、資金の出所について話しましょう。OCEANの総供給量は14億1000万トークンです。Oceanがローンチして以来、OCEAN総供給量の51%(719M OCEAN)はOceanコミュニティのために確保されています。このうち30%がDF Mainに直接送られます(=総供給量の15.3%、215.7M OCEAN)
ベースラインの排出スケジュールはビットコインと同様で、半減期が4年となっています。一方、ビットコインとは異なり、バーンイン期間が存在します:
- カーブは当初、0–12ヶ月間10%の乗数を得る
- その後、0–6ヶ月間25%に移行する
- 次に、0–6ヶ月で50%
- 最後に倍率100%に移行する
それぞれの移行は、OPFによるマルチシグの制御のもとで行われます。
バーンイン期間では、バリューアットリスクを時間と共に増加させます。これは、本格的な排出の前に、学習と将来の展望を確立するための時間を与えるものでもあります。
4.4. DFの進化
DFコアチームは、毎週のサイクルごとに、学習に基づいて報酬関数を調整したり、他の変更を加えたりすることができます。
DF Mainのリリース後、DFコアチームはスコープを拡大していきます。現在の予定は以下の通りです:
- DFパートナーズプログラム−他のDF報酬がOCEANの基本予算から来るのに対して、これらはOceanのパートナーから来る追加のトークン報酬です。H2Oのステーブル資産、ストレージネットワーク、L1チェーンなど。APYはこれらを合計します。これによってベースラインOCEANからの目標125%よりはるかに高くなる可能性があります
- 固定価格データへの報酬を追加
- フリー/オープンなデータに対する報酬を追加
- DF Crunch Program−Kaggleスタイルのデータサイエンスコンペティションです。当初は、OCEANの最良の予測者に毎週報酬が支払われる予定となります。
- 時間の経過とともに、DFの変化は緩やかに推移し、完全な分散化に向けて、さらにDFの自動化に移行していきます。
5. ウォークスルー・ナンバーズ
このセクションでは、数字の例を見ていきます。最初のサブセクションでは、アグレッシブなスケジュールでOCEANの支出を説明し、その次のサブセクションでは、コンサバティブなケースのスケジュールを説明します。最も可能性のあるシナリオは、その中間のものとなるでしょう。3つ目のサブセクションでは、可能なAPYを説明します。
5.1 アグレッシブな展開のOCEANスケジュール(アグレッシブランプ)
ここでは、最も積極的にDFが進められた場合のシナリオを紹介します。DF Betaは10週間かかり、1週間あたり100KのOCEANを放出、DF Mainタイムの各倍率は0時間です(すぐ100%の倍率になります)。全てのプロットは、このGoogleシートから計算されています。
下の画像は、アグレッシブランプ・シナリオにおける最初の半年間の推移を示しています。Y軸は、各週にリリースされるOCEANです。X軸は時間で、週単位で表示されています。DFα、DFβ、DF本編と段階が分かれているのがわかります。
下の画像は、前の画像と同じ構図ですが、今度は最初の5年間の推移を示しています。DF Mainは14週目から本格的なOCEANの放出が始まります。
DF Mainの排出は、Bitcoinスタイルの曲線に従っており、報酬は4年の半減期を持つ指数関数に従って減少していきます。DF Main報酬の半分がその最初の4年間で分配されることがわかります。
下の画像は、アグレッシブランプシナリオでDFに放出されたOCEANの合計を表します。
Y軸は、初期の値と、後に指数関数的に大きくなる値の両方を捕らえるために対数スケールされています。X軸もまた対数スケールで、時間とともに曲線がどのように収束していくのか容易に把握できるようにしています。
5.2 コンサバティブ(保守的な)ランプのOCEANスケジュール
ここでは、逆のシナリオとして、DFの報酬を保守的に増加させる方法を示します。DF アルファは1週間あたり10K OCEANで、4週間にわたって実行されます。DFベータは週10K OCEANで20週にわたって実行されます。DF Mainは10%でスタートし、12ヶ月で25%、18ヶ月で50%、24ヶ月で100%に移行します。下の画像は、最初の5年間を表しています。
下の画像は、DFに放出されるOCEANの合計を表しています。Y軸は、初期の値と、後に指数関数的に増加する値の両方を捕らえるために対数スケールされています。X軸もまた対数スケールで、曲線が時間とともにどのように収束していくかを見ることができます。
DFベータは8週目から始まり、曲線が急になっているのがわかります。DF Mainは20週目からで、曲線は緩やかになります。48週目、72週目、98週目と倍率を上げるごとに曲線が急になり、最終的にはビットコインの指数曲線のような形状になります。
5.3 APYの例
下の表は、Google シートから計算されたAPYの例です。0 週目に2.2Mの OCEANをステークした場合、最初は週当たり20%、成長率は週当たりで相対的に5%減少する形で、アクティブランプを想定しています。
以下は、そのハイライトです。DFが活発になるであろう最初の週は、APYが125%。8週目から27週目まで125%に固定されたまま。その後、ステークOCEANが十分な量に達すると、APYの制限要因として機能していきます。APYは時間とともに緩やかに減少し、1年後には66%、5年後で21.68%にとどまります。ここで表しているAPYは、OCEANの価格上昇などプラスのAPY要因や、インパーマネントロスなどのマイナスのAPY要因は考慮されていません。
6. まとめ
Ocean Data Farmingは、Oceanエコシステムのデータ消費量に応じたインセンティブを提供します。最大125%のAPYが期待でき、何十年も続くように設計されています。
データ資産の重要性と将来性をご理解の場合は、是非ともOcean Protocolのエコシステムにご参加ください!