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Ocean Protocolによる最新のWeb3技術を活用したデータ共有


Ocean Protocolによる最新のWeb3技術を活用したデータ共有

Ocean Protocol Team

この記事は、Ocean創設者Bruce PonのMOBI Community Lecture Seriesにおける講演の記録です。

2019年以来4回目となるMOBIコミュニティでの講演で、Bruceはブロックチェーン技術と暗号通貨を用いた安全なデータ共有について深く掘り下げて説明しています。具体的には、Ocean Protocolとその技術的進歩であるセーフステーキングとデータNFTの役割について強調されています。

データの価値

データは未開発の資産であり、その解放を待っています。新しいテクノロジー、考え方の変化、ビジネスプロセスの組み合わせで、これは可能になります。その出発点として、組織はデータ提供者が安全、安心、快適にデータを共有できる環境を整える必要があります。これが解決されれば、次の段階として、データに関する価格算出構造を開発し、人々にインセンティブを与え、個人データの価値を明確にすることでサイクルを回すことができるようになるのです。

Ocean Protocolチームは、より安全なデータ共有を可能にするツールや技術の構築に8年間取り組み、そのためにブロックチェーン技術や暗号通貨を採用してきました。今日、世界は大規模なデータのロックを解除するためのピースを手に入れることに近づいています。テクノロジースタックは急速に成熟しており、中核となるインフラの多くは既に使用可能な状態にあります。Defi、NFT、DAOを通じて、ブートストラップや新しい経済の成功モデルがWeb3空間に形成されており、Defi領域は3兆ドル以上の価値を保有しており、これは地球上の全てのスタートアップやユニコーンの価値を上回る額となっています。

しかし、ユーザーエクスペリエンスの向上という面では、まだ多くの課題があります。ある程度の知識が事前に必要で、直感的に操作できないという課題を解決するために、オンボーディングプロセスを合理化していく必要があります。使いやすい合理的なツールを使って物事をデジタル化することができれば、Defiであれ、データ資産であれ、既存の金融ツールを応用することもできるということを人々に教えることが、今必要なことなのです。

Ocean Protocolがオープンデータエコノミーを実現する鍵

Oceanの技術スタックには、ユーザーが自分のデータを共有し、自分の条件でマネタイズできるようにするための機能がたくさんあります。Oceanの次期テクニカルリリースとなるV4では、これらの機能が全く新しい機会を提供します。

1. Ocean Market
Ocean Marketは、人々がOceanと交流するための主要な手段であり、どのブラウザからでもアクセスできるフロントエンド・アプリケーションです。ユーザーはデータセットを見たり、ステークしたり、売買したりすることができます。より幅広い有用なデータと、必要とする種類のデータをリクエストできるフォームなど、Oceanは人々を引き寄せるためのプールを構築しています。

Ocean Marketはオープンソースのソフトウェアであり、誰でも自由にクローンして独自のマーケットプレイスを構築することが可能です。(興味のある開発者の方は是非ご相談ください)コードは完全に検査可能であり、見つかった脆弱性は非常に迅速に修正することができます。新バージョンのV4では、プロバイダーは各取引に独自の手数料体系を設定できるほか、希望する通貨での価格データも設定できます。Oceanがこの14ヶ月で成し遂げた進歩は、すべての参加者と関係者にツール、機能、コントロールを拡張することに集約されています。また、Ocean MarketにDeFiとNFTの両方を統合し、ユーザーが取引手数料を得ることも可能になりました。Ocean Marketは現在、より成熟したフロントエンドへと進化しており、Web3テクノロジーの利用を開始することができます。Oceanの暗号通貨、Oceanと相互作用するあらゆるもの、NFTの概念、そしてDefiが含まれます。

Web3テクノロジーは将来を見据えたものであり、世界が向かう先であるため、数百万ドル相当のデータを確保し、人々がデータを共有できるようなライブデモを制作する能力は非常に稀なのものです。Ocean Marketは、Web3技術を利用した最初のデータマーケットの一つとして進化し続けていきます。

2. Oceanスマートコントラクト
Ocean ProtocolをAIとデータ共有のためのOSとして、スマートコントラクトはそれを駆動するエンジンです。アクセス条件の強制、支払いの円滑化、取引やビジネスロジックの実行などの役割を果たします。誰でも使えるグローバルに共有されたコンピューターであるため、適切な入力があれば、いつでも地球上のどこででもこれらの取引を行うことができます。

ブロックチェーン・ネットワークには複数の種類があり、Oceanはスマートコントラクトを通じて相互作用します。スマートコントラクトは、すべてのプロトコルが生きている核となるビルディングブロックです。信頼できる価値の交換を可能にするだけでなく、どのような取引が行われ、どのようなアクションが行われたかという監査証跡を提供します。これは非常に強力なユースケースです。なぜなら、どの参加者もブロックチェーン上で直接何が起こったかを追跡して見ることができ、自動監査や検査、つまりデータや個人データセットに何が起こったかを継続的に監視する方法として機能するからです。データ提供者は、どれだけのデータセットが販売されたか、それに対して何が行われたか、そして例外や誤用があった場合に通知されるレポートを毎日受け取ることができます。

3. Compute-to-Data
データを公開せずに共有したいというニーズに応えるためにOceanが構築した3つ目のピースが、「Compute-to-Data」と呼ばれるリファレンス実装です。これはプライバシーを維持したアクセスを提供するもので、データ内容の盗難・盗用を阻止することができます。現在、この分野では多くのツールが開発されており、プライバシーを保護するコンピューティングを複数の細かい粒度で実現することが可能になっています。つまり、データセットに対してどのような計算を行い、どのようなアクションを実行しても、そのプライバシーは守られるのです。Ocean Protocolチームは、プライバシーを保護するアルゴリズムやソリューションをOcean Marketに直接統合するために、他のいくつかの組織と協力しています。

ユーザーは、サービスを安全に利用するために、サービスの上に実装したいプライバシー保護の種類を選択することができるようになります。Ocean Protocolは、ユーザーがデータを提供する際の快適さと安全性を提供し、業界の需要に応えます。

4. OCEANトーク
暗号通貨についてよく耳にするようになり、ブロックチェーン経済をナビゲートするために暗号通貨を取得し、保有し、使用する人が増えています。アメリカ国民の15%が暗号を保有しているようですし、フィリピンやナイジェリアなど、必ずしもイノベーションの最先端にいるとは思えないような他の十数カ国でも、実際に暗号を保有している人口は20%を超えているそうです。このように、暗号は世界を招き入れ、誰もが参加できるものなのです。これが、この技術のポジティブな効果です。

そこで、OCEANトークンの出番です。これはOceanネットワーク用のネイティブな暗号トークンで、スマートコントラクトの実行を支援し、私たちはガバナンス、ステーク報酬やバウンティなど、他の多くの目的にもこのトークンを使っています。このデータエコノミーの標準であり、エコシステムにおける支払い手段でもあります。将来的には、他の暗号通貨をエコシステムに導入することも視野に入れています。私たちの全体の目標は、データの共有がより簡単になるようにすることです。今は、私たちとやりとりするためには暗号通貨のウォレットを持つことが必須ですが、技術の進歩に伴い、より簡単にオンボーディングできるようになることを期待しています。

5. データトークンとデータNFT
ピンボールゲームで遊びたいなら、トークンを投入しないと遊べない、と考えてみてください。私たちは、データにアクセスするためにはトークンが必要だという考え方で、データトークンを設計してきました。

データ提供者は、Ocean Marketでデータトークンの価格を設定することができます。また、データ自体に影響を与えることなく、リアルタイムでコミュニティによってトークンの価格を動的に設定することができる革新的な技術も存在します。コミュニティがデータを見て、何が提供されているのかを理解すれば、データの値付けに協力することができるのです。データトークンのコンセプトによって、データ資産が独自の動的な価格設定を生み出し、データトークンの背後にある流動性が価格を提供し、人々は実際の基礎となるデータを動かすことなくデータトークンを投機的に取引することが可能になります。特に価格の分からないデータ資産について、将来に向けてどのようにデータを価格付けできるかを見るのは興味深い実験です。

データセットが非常によく使われ、広く取引されているときにデータトークンの概念を論理的に解釈すれば、そのデータセットIPO(新規株式公開)していると言えます。

Web3の分野で気づいたことのひとつに、投機と価格設定が市場の基本的な要素であるということがあります。まだ始まったばかりの市場には、投機しかありません。このダイナミズムを利用することで、データトークンを通じてデータのロックを解除することができるのです。

6. データNFT
あるデータセットがあり、「博士課程の研究のために作成したが、そのデータはもう必要なくなってしまった」と想像してください。ところが、ある自動車メーカーがそのデータセットを欲しがっていることがわかった。データトークンを生成して、その自動車会社にアクセス権を渡すことができます。しかし、データ資産に対するライセンス権のためにデータNFTを作成する可能性もある、と言うこともできます。このデータNFTを自動車会社に販売し、データを使用させるだけでなく、そのデータを改良して販売することも可能です。

言い換えれば、あなたの知的財産をライセンスアウトし、他の誰かが使ってマネタイズできるようにできるのです。例えば、車のNFTの場合、NFTと一緒に車を売ることになります。また、ライセンシングに投資して、特定のデータ資産に特定のタイミングでアクセスできるようにすることもできます。1つの曲とそれにアクセスできる複数のCDがあるように、データセットとそれへのアクセスを許可するいくつかのNFTがあり、所有者はデータ資産を収益化することができるのです。

要約すると、2つのアプローチがあります。一つはデータトークンで、ユーザーはデータ資産を管理し、何人が取引しているか、価格はいくらかなどを動的な観点から監視することができます。もう一つは、データNFTで、ユーザーがサブライセンスを生成し、それを売却するものです。このNFTはフリーフローティングですが、そのNFTを持っている人は、特定のデータセットにアクセスし続けることができます。

これらはネイティブで未来志向の技術であり、今後さらに注目されることでしょう。Ocean Protocolは、これらの構成要素により、データを販売し、収益化するためのツールをユーザーに提供します。どのデータ提供者も、中央集権的な団体やサービスプロバイダーとしてのソフトウェアに頼ることなく、これらの革新的なチャネルを使ってデータをマネタイズできるようになりました。データ提供者は手数料を完全に管理でき、プラットフォームから外れることはありません。これにより、イノベーションが花開くだけでなく、データエコノミーを実現するために、利害関係者がさまざまなビジネスモデルを試すことができるのです。

なぜデータ共有が促進されないのか?

答えは簡単で、データを収集する方法は100通りもあるのに、集めたデータがただ閉じ込められたままになっているからです。今日、多くの個人が自分のデータを共有し、収益化したいと考えていますが、実際にどのように始めればよいのかわからないのが現状です。また、このプロセスにおける法的、安全性、プライバシーに関する包括的な理解も必要となります。Ocean Protocolで目指すオープンデータエコノミーを構築するためには、このような好奇心や新しいビジネスラインを構築するチャンスが不可欠なのです。

私たちは、少量の価値と評判をリスクにさらし、有機的に学び、調整するような実験を促進していく必要があります。市場の反応は誰にも予測できないものであり、関心のあるデータ提供者は最初の一歩を踏み出さなければなりません。Web3の世界でデータをどのようにパッケージングし、販売すればいいのか、誰にもわからないのです。言い換えれば、ここにはどの企業も手をつけてない領域、圧倒的なブルーオーシャンが広がっています。

誰もがこの新しい環境で学んでおり、大胆な一歩を踏み出すことで初めて、データの共有が促進されると強く確信しています。多くの人々が、サービスやAI機能を強化するために多くの組織が求めているようなデータをまさに持っているのですから、それを共有して収益化する最も簡単な方法に飛び込むことが不可欠になるのです。

データから価値を引き出すための3ステップアプローチ

ステップ1「データを集める&公開する」
価値があるにもかかわらず、利用・収益化されていないデータを収集します。

サプライチェーン、製造、エネルギー消費、センサーデータ、倉庫データなど、収集可能で価値があると思うデータを探してみてください。ただし、個人情報が露出するものは避けてください。

それを見つけ、パッケージ化し、Ocean Marketで公開しましょう。

これにより、ウォレットの設定からIDの自己生成、そして利用可能なツールの使用まで、Web3のツールとパラダイムに足を踏み入れることができるのです。これは、Web3の世界をどのようにナビゲートするかを学び、ステークホルダーに示すための最良の方法でもあります。

ステップ2 — 価値を探求する
そのデータが何に使えるかわからない場合は、懸賞金を発行します。
そのデータが何に使えるかを見つけるのを手伝ってくれたコミュニティに対して、懸賞金を出すのです。例えば、そのデータがどのように価値があり、どのように収益化できるかについて最も優れたアイデアに1万5000ドルの賞金を出し、上位3人に5000ドルを与えるというような単純なものでいいでしょう。Ocean Protocolでは、25万人の強力なコミュニティに対してでこの賞金を公表することができます。この懸賞金により、意欲的な人々から広くアイデアを集めることが可能です。誰もが参加し、誰もが関与し、誰もが享受できることがWeb3の世界の醍醐味です。

ステップ3 — 価値を得る
1999年、金鉱の所有者によってGoldcorp Challengeが立ち上げられました。彼は、100万ドルの懸賞金を提示して、自分の金鉱で金を見つけるのを手伝ってくれるよう、グローバルコミュニティに頼みました。彼は、地質データの小さなファイルを掲示し、コミュニティに対して閲覧を求めました。20年後、Goldcorpは100億ドルで売却され、現在では地球最大の金鉱会社となっています。それは、彼が、自分の大切な金鉱のデータを公開し、どこで金を掘ればいいのか、他の人たち(コミュニティ)の助けを借りたからです。

データは、オープンで透明性のある形で活用されれば、非常に強力で価値のあるものになります。

このシンプルな3ステップのアプローチによって、あなたのデータから価値を引き出し、データサイエンティストのグローバルコミュニティを活性化させることができるでしょう。それは、人がチャンスを掴むことで、初めてゲームチェンジャーとなり得るのです。

まとめ

まとめると、Ocean Protocolでは、安全なデータ共有を可能にするインフラを構築してきました。そして、そのインフラはすでに完成しており、すぐに利用することができます。Ocean V4のリリースでは、パブリッシャーがより多くのコントロール、透明性、そしてデータをマネタイズする方法を提供する予定です。

これは、急速に拡大するデータ領域において、最も先進的な技術の積み重ねです。しかし、その真の可能性は、より多くの実験が行われることで初めて実現されるのです。もしデータがオープンになれば、どんな発見が待っているか想像してみてください。Ocean Protocolは、この旅をサポートし、応援し続けます。


Ocean Protocolについて

Ocean Protocolのミッションは、世界に広がるWeb3データエコノミーを始動させ、データの所有者にその所有権を取り戻し、人々がデータから本来得るべき価値を獲得してより良い世界を築き上げていく事です。

データは新たな資産クラスであり、Ocean Protocolはその価値を引き出します。データの所有者と消費者は、Ocean Marketアプリを使用して、安全でプライバシーが守られた方法でデータ資産を公開、発見、消費できるようになります。

Oceanのデータトークンは、データをデータ資産に変えます。これによりウォレットや取引所、その他のDeFiツールを活用して、データウォレット、データ交換、データ協同組合を実現します。プロジェクトは、OceanライブラリやOCEANを自分のアプリで使用し、Web3データエコノミーの推進に貢献していきます。

Oceanトークンは、データへのステーク、Ocean Protocolのコミュニティへのステーク、データの売買に使用されます。Oceanトークンの供給は、短期的な成長と長期的な持続性を促進するために時間をかけて分配され、利用量の増加に応じて増加するように設計されています。

詳しくはoceanprotocol.comをご覧ください。

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