Facebookが支援するDiemの全歴史:Diemのローンチはいつになるのか
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「Diem」は、Diem Associationが、2021年にドルにペッグされた単一のステーブルコインの試験運用の開始を発表したことで、再び注目度を高めました。この動きは、米国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実験への参加促進を目的としていると考えてよいでしょう。
Diem Associationが、その後発表したニュースは、これだけではありません。Silvergateとの提携や、Noviウォレットのリリースなど、プロジェクトへの関心は高まりを見せています。
Diemとは?
Diemは、Facebookが導入したプロジェクトで、Diem Associationが運営しています。世界中の何十億人もの人々を支援することを目的とした金融インフラです。
Diemは、Diemコイン、ブロックチェーン、決済システム、準備金、そして調整機関としてのDiem Associationなど、いくつかの重要な要素で構成されています。
Diemコインは、現金および現金の同等物に完全に裏付けられた単一通貨および多通貨のステーブルコインとなるよう設計されています(20%の現金と80%の現金同等物)。完全な裏付けとは、準備金が現金または現金同等物と超短期の政府証券で、少なくとも流通している各コインの額面に等しい金額を保有することを意味します。
Diem Associationは、Diemプロジェクト全体を統括する独立した会員組織です。主な役割は、Diemプロジェクトを調整し、ガバナンス決定の枠組みを提供すること、全ての側面と製品を監督し、安全でコンプライアンスを遵守した方法でのサービス提供を促進することです。
Diemの決済システムは、参入障壁の低い、よりつながりのあるグローバルな金融システムを促進します。このサービスを利用するためには、ユーザーはスマートフォンがあればよく、銀行口座を持たない人口の割合を減らすことができる可能性があります。
Diemの決済システムは、パーミッション・ブロックチェーン上に構築されているため、規制に準拠した迅速で安全な取引を可能にするとともに、将来のイノベーションに対応できる拡張性と柔軟性を備えています。また、Diemコインは、現金または現金同等物と超短期の政府証券で構成された資産の準備金に裏付けられているため、安定性も確保されています。
Diemの準備金は、脅威を軽減し、リスクを最小化するよう意図的に設計されます。質の高い流動性資産に依存し、信用リスクの低い短期政府証券が少なくとも80%、短期証券への迅速な投資のための現金が20%で構成されます。
このように、Diemは単なる決済ソリューションとしてではなく、Diem Associationが管理するブロックチェーン、決済システム、Diemコイン、リザーブを含むシステム全体として作られています。
Diemはどのようにして作られたのか
Facebookは、2017年にブロックチェーン技術の検討を開始しました。市場とあらゆる可能性を調査するために、専門家としてモーガン・ベラー氏を雇い、数か月間にわたり調査を行いました。
2018年5月、彼女はデビッド・マーカスと合流し、Facebookが支援する初のブロックチェーンプロジェクトの開発を開始しました。そして最終的に2019年6月、Facebookは何十億もの人々に力を与えることができるシンプルなグローバル通貨と金融インフラであるLibraを発表しました。
Libraプロジェクトは、信頼を確保し、大量導入を促進していくために、非営利団体「Libra Association」が運営するように設計されました。同協会のメンバーには、Andreessen Horowitz、Coinbase、Spotify、Lyft、Uber、Shopifyなど、世界中の多様な企業や非営利団体が名を連ねています。
Diem(Libra)の共同開発者デビッド・マーカス氏は、「(Libraが)大量採用されること、つまり、この旅に参加したいと思っている信頼できる企業が数多くあることは、これが主流になる可能性があることを意味します。」と述べています。
LibraがFINMAに決済システムライセンスを申請
真にグローバルな決済システムを構築するため、Libra Associationは2020年4月にスイス金融市場監督庁(FINMA)への決済システムライセンス申請手続きを開始しました。
これは、技術的な実装に裏打ちされた戦略的な動きであり、当時、Libraはオープンパーミッションのブロックチェーンを採用し、金融コンプライアンスとネットワーク全体のリスク管理のための強固なフレームワークを統合に向けて取り組んでいました。同時に、協会は多通貨ペッグのLibraコインに加えて、単一通貨のステーブルコインの開発も開始し、これがプロジェクトの将来に大きな影響を与えることとなりました。
LibraがDiemに
プロジェクトの最初の発表以来、Libraは常に規制当局の厳しい監視下に置かれていました。ある時は、調査のためにプロジェクトを停止するよう求められたこともありました。規制当局は、Libraが世界の金融システムに影響を与える可能性があることや、その開発にFacebookが関与していることを懸念していたのです。
このような強い規制圧力により、Libraはローンチに向けた計画の延期を決断することになりました。さらに2019年10月には、規制面での懸念を受けて、Visa、MasterCard、eBay、Stripe、Mercado Pagoなど、複数のLibraパートナーが協会から脱退しました。
これに対し、不安を鎮めてLibraプロジェクトを復活させるために、マーク・ザッカーバーグは2019年10月に米国議会の証言台に立ちました。彼は、プロジェクトの最善の意図を議会に再確認させるために、FacebookがLibra Associationから離脱する準備をすると発表したのです。
こうしてFacebookと距離を置き、プロジェクトが規制当局の期待に応える設計がなされていることを再度確認した上で、協会は2020年12月に名称を「Diem」に変更することを決定しました。このリブランディングと、多くの人事改革、中でもダリア・マルキ氏を新たに最高技術責任者に、スティーブ・ブネルを最高法務責任者に任命したことで、プロジェクトは評判を回復し、活動を再開することができました。
Diemが米国に復帰
2021年5月、Diem Associationは、Silvergateとの新たな提携を発表しました。この提携の条件によると、Silvergate銀行はDiemのドルステーブルコインの発行者となり、Diemのドル準備金を管理します。一方、Diemはパーミッション・ブロックチェーンネットワークを運営します。
また、Diem Associationは、主要業務をスイスから米国に移すことを決定しました。この戦略的ステップは、Diemが当初米国に焦点を当てていたことや、米国ペッグのステーブルコインを発行する計画を考えると、かなり論理的なことであるといえます。
その結果、Diem Associationは、新しいモデルでは必要なくなったFINMAへのライセンス申請を取り下げました。
DiemのCEOであるスチュアート・リーバイ氏は、「Diemの計画では、プロジェクトは完全に米国の規制範囲内に入り、FINMAからのライセンスはもはや必要ありません。しかし、このプロジェクトは、スイスでのライセンス取得プロセスと、FINMAおよびFINMAがプロジェクトを検討するために招集した世界中の20以上の規制当局からの建設的なフィードバックを得られたことで、大きな恩恵を受けることができました。」と述べています。
Diemのパイロットローンチはいつになるのか
Diem AssociationとSilvergateとの戦略的パートナーシップは、Diemのローンチ前の最後のステップの一つでした。では、具体的にいつ実現するのでしょうか?
Diemの共同開発者デビッド・マーカス氏によると、Nobiは今すぐにでもローンチできるが、Diemは遅れているということです。ちなみにビッド・マーカス氏は先日辞任を発表しました。
Diem Associationは、米ドルペッグの単一のステーブルコインとしてDiemのパイロット版を2021年のローンチを目指していましたが、正確な時期は残り1ヶ月にしてまだ発表されていません。このパイロット版は、個々のユーザーが購入することに焦点を当てた小規模なものになると考えられています。
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