Messariがサブグラフのコア開発者としてThe Graphエコシステムに参加
The Graph Foundation
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サブグラフを活用したオープンデータへのアクセスは、かつてないほどスケーラブルになっています。暗号マーケットインテリジェンス製品のリーディングプロバイダーであるMessariは、Graph Day内で発表されたように、The Graph Foundationからの助成金によって、サブグラフの標準化と革新を行うコアサブグラフ開発者としてThe Graphエコシステムに参加しました。
Messariは、サブグラフ開発とweb3におけるデータ標準化にリソースを割き、The Graphを通じたオープンデータのミッションに向けた取り組みを進めていきます。サブグラフの構築によってデータを表面化することで、ユーザーに高品質で正確かつ複雑なデータを製品として提供することが可能になります。既にMessariのサブグラフはThe Graph Network上でオープンソース化されており、この取組は、サブグラフの公共財化、つまり誰もが利用できるデータリソースの実現というビジョンの根幹を成すものとなります。
Messariは、Compound v2のサブグラフなど、既に20以上のサブグラフを分散型ネットワーク上に展開しており、誰でもライブで利用可能です。Messariのチームは、今後2年間で、web3プロトコルの高品質で複雑なサブグラフをさらに200以上構築していくことを目標にしています。
サブグラフの標準化
The Graphは、The Web3 Indexなどのweb3コミュニティによって、web3で最も利用されている分散インフラストラクチャとして知られています。 The Graphは、web3のインデックス/クエリレイヤーとして、世界のデータに誰もがアクセスできるようにすることで、分散型インターネットの成長の基本的な部分を担っています。
ユーザーもビルダーも、web3スタックとして次世代のdappsを作成するために、正確で信頼性の高い高品質なデータを必要としています。サブグラフを使用して世界中に存在するのオープンデータを整理することは、全てのオンチェーンデータが公共財としてアクセス可能であるべきで、分散型インフラ上に構築することによって全ての人に利益がもたらされるというMessariの理念に合致するものです。
世界のデータを整理するためには、DEX、レンディングプロトコル、イールドアグリゲーター、リキッドステーキングプロトコル、データインデックスプロトコル、DAOや他のガバナンス形態、NFTプラットフォームなど、多くのWeb3ユースケースにわたってデータポイントを収集する必要があります。
従来、異なるweb3ユースケース間のサブグラフの標準は存在しておらず、類似した垂直方向のサブグラフ間でも一貫性がなく、プロトコル間のDappsの構築が困難であるという状況がありました。例えば、AAVEとCompoundのような類似性の高いプロトコルのサブグラフでも、構築方法が異なるため、サブグラフ構造、集約データ、代替データなどが大きく異なる場合があります。
Messariによるサブグラフ開発は、高品質、正確、複雑、効率的に設計されたサブグラフを望む全てのweb3ビルダーにとって、その要求に合致するデータの提供につながるものです。以前は、サブグラフの用語や定義が微妙に異なり、プロトコルやアプリ間でのデータの比較が困難でしたが、Messariは開発者向けの標準化とベストプラクティスを開発しており、サブグラフの用語と定義の統一を図っています。
この「サブグラフの標準化」によって、ビルダーやユーザーは時間と労力を大幅に節約することができます。また、データの標準化によって、サブグラフを利用したアプリやツールの構築が容易になり、web3データのインデックス付けやクエリがより身近なものになることが期待されます。さらにMessariは、重要なデータポイントのパターンを特定して、形式化することで、エコシステム全体がより広範に成長するための基礎的な部分を担っています。Messariの研究は、web3のビルダーだけではなく、研究者やデータアナリストなど、多くの人々に豊富なデータを開放し、サブグラフのデータへの簡単かつ効率的なアクセス性を提供します。これらの標準化の取り組みによって、誰でも簡単にプロトコルの比較、データ解析、プロトコルやチェーンにまたがる複雑なモデルの構築が可能となります。
サブグラフ開発におけるコミュニティとの知識共有
サブグラフの標準化におけるMessariのオープンソースワークの重要な部分は、コミュニティ全体で情報、標準、ベストプラクティスを共有可能になるということです。Messariは、200以上の新しいサブグラフの構築に取り組んでおり、このプロセスを通じたドキュメントも共有していきます。The Graphが、web3データのインデックスを作成し、より多くのビルダーがサブグラフを作成するようになった場合においても、Messariの専門知識によって、誰もが同じ標準を使用して高品質のサブグラフを作成することができるようになるのです。
このように、Messariの研究はベストプラクティスモデルとして、将来の高品質なサブグラフの開発に役立てることができ、プロトコル間で標準化されたデータは、将来のデータの価値をさらに高め、サブグラフ間で利用可能なデータの有用性をさらに高めることになるでしょう。
Messariで開発されたサブグラフのはGitHubで公開されており、各レベルのサブグラフ開発者のためのリソースも提供されています。また、Messariは、ネットワークのアップグレードやGIP、Graph ClientやSubstreamなどのサブグラフの新機能に関するフィードバックを提供することで、The Graphのコア開発者のサポートにも取り組んでいます。
サブグラフの開発を開始する方は、The Graph Academy内のビギナー向けリソースをご確認ください。
構築されるサブグラフの種類
DEX/AMMのサブグラフ
AMMは、常に2つの資産間の価格を提供する分散型プロトコルとして、2つの資産間の値を計算するために異なる数式を使用します。Uniswapは、xとyがそれぞれのプールの流動性の量、kが定数である非常に単純な式(x * y = k)を使用していますが、BancorやCurveなどは、より複雑な式を使用しています。DEX/AMM間でサブグラフを使用してデータを標準化すると、流動性プール内の利用可能残高、手数料、使用率などの指標の迅速な比較が可能になります。
レンディングプロトコルのサブグラフ
AaveやCompoundなどのレンディングプロトコルでは、ユーザーによる資金の預け入れや、担保に対する融資について、分散化されたパーミッションレスの方法がとられています。レンディングプロトコルのサブグラフでデータを標準化する場合、TVLや金利、日々の利用指標、スナップショットなどの指標の比較が非常に容易になります。また、データの標準化によって、特定のプロトコルの指標だけでなく、市場全体の可視化が用意になるのです。
イールド・アグリゲーターのサブグラフ
イールド・アグリゲーターは、各資産のステーキングやイールドの収集プロセスを自動的に管理するものです。Beefy FinanceやLiquid Driver、Yearn、Stake DAOなどのプロトコルは、異なるプラットフォームから最高の利回りを得るために、異なる戦略を使用しており、各プロトコルのアルゴリズムは非常に複雑なものとなっています。このケースに置いても、サブグラフは、日々の財務スナップショット、ボールトの保有量、活動や戦略などのデータを整理し、効率的に表示するのに役立ちます。
ガバナンス及びDAOのサブグラフ
ガバナンス・プロトコルは、ブロックチェーン上のルールを管理・実行する仕組みです。ENS Governor、TrueFi、UnlockGovernorなどのプロトコルは、トークン保有者、提案、投票期間、提案に関連する情報やアドレスなどの重要な情報に関するガバナンスデータを保存しています。こうしたデータをサブグラフで標準化することで、プロトコル、ガバナンスのフレームワーク、提案、投票などをより効率的に比較することが可能になります。Messariのガバナンス提案トラッカーは、サブグラフがいかに便利で簡単にアクセスできる情報を提供できるのかを示す良い例となるでしょう。
ネットワークサブグラフ
ネットワークサブグラフは、異なるチェーンに関する重要な情報を保存し、EVM、Cosmos、NEAR、Arweaveなどを始めとするチェーン全体で、ブロックに関するデータ、ブロック高、流通資産の価値、使用ガスコスト、ブロック利用率などの主要情報のスナップショットを常時保存しています。これらのサブグラフは、ブロックエクスプローラーやチェーンデータを検査する他のアプリケーションをサポートするために重要なものです。ネットワークサブグラフは、The Graphのネットワークでより多くのチェーンがロールアウトするのに合わせて、サブグラフ間で標準化された形式でこの情報を提供することができます。
NFTサブグラフ
NFTサブグラフには、取引量、市場収益、クリエイター収益、ユニークトレーダー数、ロイヤリティ料金など、マーケットプレイスに関する情報が格納されています。これによって、異なるNFT市場の比較が容易になり、NFTエコシステム全体の全体像をより明確に共有することができます。
オープンソースデータが世界にもたらす価値
データのオープン化は、アクセス性やデータ分析の質の向上、研究・イノベーションのスピードアップなどの予測可能な効果をもたらします。また、イノベーションの結果として、予期せぬポジティブな結果をもたらすこともあります。分散ネットワーク上のサブグラフ間でデータをオープン化することで、web3エコシステム全体で真に分散したアプリケーションをさらに発展させる機会が生まれます。
サブグラフの標準化は、web3エコシステム全体に利益をもたらし、有用なスキルや専門知識を持つ開発者からの貢献の活性化にもつながるものです。サブグラフ開発には誰でも参加可能であり、公共財としてのオープンデータの範囲を拡大するためのサブグラフの構築に自由に関与することができます。
オープンソースデータを世に送り出すために
Messariでは、開発者、研究者、プロトコルチーム、コア貢献者、暗号データアグリゲーターに活動への参加を呼びかけています:
- 取り組みに貢献した開発者には、アップグレード可能なオンチェーンクレデンシャルNFTが提供されます。希望される方はこちらから申請してください。日本からの参加もお待ちしております。
- MessariのMetricsDAOでの取り組みについてはこちらで把握できます。
- プロトコルのサブグラフ作成を効率化したいプロトコルチーム/コア貢献者は、お気軽にMessariに連絡してください。
- 暗号データアグリゲーターは、標準化に向けたワーキンググループに参加することで関与することもできます。
The GraphのDiscordおよびSubgraphDAOのDiscordに参加して、サブグラフ開発に関する最新情報を入手し、公共財としてのオープンデータの未来に貢献する方法を学んでいきましょう!