Web3 ZKマーケットマップ
翻訳:Takeshi@Think Globally, Act Locally
まず、ゼロ知識(zk)証明とは何か、なぜそれが重要なのか?について全くご存じない方のために、簡単にご紹介します。
バーに行って年齢確認のためにバーテンダーに身分証明書を渡したときのことを考えてみてください。バーテンダーは、あなたが21歳以上かどうかさえ分かればよいのに、実際にはあなたは名前や住所、身長、目の色、生年月日の情報も伝えています。zk技術は、バーテンダーに対して、あなたが21歳以上である(お酒を飲める)という事実以外の個人情報を与えることなく、年齢確認を可能にするものです。
Ethereum.orgによると「zkプロトコルとは、ある当事者(prover)が他の当事者(verifier)に対して、特定のステートメントが真実であるという事実以外の情報を明かすことなく、それが真実であると証明できる方法である」とされています。
zk証明の概念は、1985年のMITの論文「The knowledge complexity of interactive proof systems」で初めて公表され、その定義が現在でも広く使われています。しかし、38年前に生まれた概念がなぜ現在、特に暗号コミュニティでこれほどまでに関心を集めているのか、疑問に思われるかもしれません。
暗号技術の愛好家は、オープンソースかつ不変の性質に言及することで、ブロックチェーン技術の重要性を伝えます。誰もが全ての取引やアカウント残高を見ることができるという透明性は、ユーザーへの信頼感をもたらしますが、この信頼感は必然的にプライバシーというトレードオフを伴います。透明性には多くの長所がありますが、同時に暗号の主流化を妨げているという側面も数多くあります。
あなたが持っているお金の量やそこから推測される行動履歴を誰でも見れるようにしたいですか?
私は、その答えは「ノー」であり、zk領域に参入する多くの組織、投資家、開発者もおそらく同じ考えでしょう。
zk領域のマーケットマップ
WAGMI Venturesは、革新的なテクノロジーの限界とユースケースを拡張するために取り組むzk領域の100社のマーケットマップをコンパイルするために調査を実施しました。zk技術のカテゴリとユースケースはまだ初期段階ですが、特定のカテゴリは出現し始めています。
マーケットマップの要点
インフラストラクチャ & 構築
- L1のブロックチェーンからL2のロールアップ、クロスチェーンブリッジ/相互運用性レイヤー、新しい開発者言語、zkアプリケーションに最適化された環境まで、ブロックチェーン技術スタック全体にわたるインフラを構築するプロジェクト群
DeFi & ペイメント
- 主に自動マーケットメーカー(AMM)、分散型取引所(DEX)、レンディングプロトコル、暗号決済ソリューションに焦点を当てたプロジェクト群
企業ハイライト:
- Zkredit — クレジットスコアや月収を明かすことなく、住宅ローン契約を可能にする
アイデンティティ & セキュリティ
- 物理的及びデジタル環境で、相手に不必要な情報を開示することなく、自身のアイデンティティや取得資格の証明を可能にすることにより、ユーザーのセキュリティとプライバシーを向上させるソリューション
カストディ & ウォレット
コンシューマー & アナリティクス
- 企業ハイライト:
- Stornest — 死後、自身のデジタル情報にアクセスできる受益者を選択可能にするソリューション
- Hush — zk暗号を使用したプライベートメッセンジャー
リサーチ&アクセラレーター
- zk関連企業の構築や資金調達に焦点を当てた研究およびアクセラレータ
ゲーミング
- 企業ハイライト:
- Forte —トークンウォレットやNFT、ペイメントレールなどのブロックチェーン技術を ゲームパブリッシャーのゲームに簡単に統合可能に
- ZKasino — 誰でもどこでも簡単にサインアップして、検証可能な公正なカジノゲームをプレイすることができる分散型オンラインカジノ
NFTとデジタルコレクティブル
- プライバシーを守りながら、NFTのAMMと低コストの取引ソリューションをユーザーに提供
ハードウェア
- zkベースの演算処理に最適化されたハードウェアの開発
PitchbookとCrunchbaseによると、今回のマーケットマップに掲載されている100社で合計32億ドルの資金が調達されています。この32億ドルのうち、26億ドルは2022年以降に調達されたもので、zk技術が投資家を惹きつけるトピックになっていることが浮き彫りになりました。
まだ初期段階ですが、zk技術が暗号業界や社会全体で大きな役割を果たす可能性は日々高まりつつあります。私たちは、各プロジェクトとzk領域の発展を今後も継続的に追い続けていきますので、近日公開のコンテンツにご期待ください。
参考文献