Web3への道
Web3への道
著:Yaniv Tal
厳しい時代
Web3は、分散型アプリケーション(dApps)が広く普及するために十分に有用なものになることはないだろうと考える懐疑論者が数多く存在します。
“暗号”の価値とは検閲への抵抗力だけなのでしょうか?
主流に対抗できるdAppを作ることは不可能なのでしょうか?
The Graphは、Web3が次世代のプラットフォームになり、何百万ものdAppが市場に出回り、Web2.0の独占企業に取って代わるだろうと考えています。それだけでなく、今年は、dAppがプロダクトとして市場に適合する最初の年になるのではないかと予想しています。
集中型サービスにおいては我々は囚われの身となる
Webのクライアントサーバーアーキテクチャは、サーバーの実行者・管理者、アプリケーション開発者やSaaSプロバイダーに絶対的な権限を与えます。その結果、中央集権化が蔓延し、ユーザーや開発者に悪影響を与えているのが現状です。
信頼性が低い:集中型サービスはいつでもシャットダウン可能
制限的:ユーザーは、選択の自由を制限する特定のプラットフォームにロックされています
搾取:個人に不利益を与えるような対価を求める行為を平然と行う
もしも暗号が私たちを脱却させてくれるとしたら?
分散型インフラストラクチャは、ソフトウェアの安定基盤を作ることができます。企業に制御権限を渡すのではなく、ブロックチェーン、P2Pネットワーク、サービスプロトコルを使って直接取引を行い、制御を個人の元に取り戻すことができます。インターネット上での人間の協調性をスケールアップできるようになるので、個人が仕事や私生活において、より柔軟性、機会、選択の幅を広げることができるようになります。
dAppとは?
dAppとは、分散化されたプロトコル上に構築されたアプリケーションのことです。コミュニティが将来的に標準的な定義に収束するまでは、この用語は無定形であるといえます。Web3は、マーケットプレイス、DeFi、ガバナンス、エンターテイメントなどの多様なユースケースを包含する広い領域です。
Web3の真のメリット
Web3は、世界中の開発者がバンドを組んで、オープンソースコードと相互運用可能なデータを中心としたネットワーク効果を生み出すことで、現存する企業との競争を成功させることを可能にします。彼らが構築したdAppは、既存のアプリよりも強力な優位性を持つことになるでしょう。
エージェンシー:自己のアイデンティティやデータ、評判を本人が所有
相互運用性:dApps間のシームレスな切り替え
信頼性:信頼性の高い公共インフラ上で永遠の動作が保証
収益化:資産と金融のコントラクトが組み込まれる
セキュリティ:安心・安全でプライベートも充実
開発者フレンドリーであること
開発者はプラットフォームを作ります。開発者は良いプロダクトを作って収益化したいと思っています。彼らは、個人の自由とオープンソースを好む創造的な個人であることが多い傾向があります。Web3が開発者にとってアプリケーションを構築し、ユーザーにリーチするための最良の場所になれば、開発者は自ずとWeb3を選択するでしょう。
Web3におけるセンチメント
Web3上でセンチメントが薄れている理由の一つは、利用率の高いdAppが現状あまり存在していないことです。まだ開発中のプラットフォームに多くのユーザーがいないのは当然のことです。
インフラがまだ整っていないのです。
使えるdAppを構築するのに2~3年かかるプロジェクトが数多く存在します。この「使える」というのは相対的な言葉です。現存するほとんどのdAppは機能が制限され、まだ使いにくい状態です。インフラが競争力のあるアプリケーションをサポートするのに十分成熟するまでは、爆発的なユーザーの増加がを期待すべきではありません。
UX云々の話を超えて、いくつかの「神話」がdAppsの開発を妨げていると私たちは考えています:
神話1
ユーザーエクスペリエンスを犠牲にしてまで、プライバシーや自己主権にこだわり過ぎている。実際にはユーザーは理想論よりも利便性や使いやすさ、機能性を重視していまする。
神話2
分散化にコストがかかりすぎて、集中型サービスに勝てない。ベースレイヤーのセキュリティはコストがかかりますが、多くのトラストミニマム化サービスは、集中型サービスよりも安価に提供できます。サイドチェーン、ステートチャネル、その他の最新プロトコルを使用することで、dAppの使用コストは月に数セントまで低減することも可能でしょう。
神話3
プロトコルとdAppsに明確なビジネスモデルが存在しない。テクノロジー・イノベーションには、ビジネスモデルのイノベーションが必要なことが多いものです。ワークトークンのようなプロトコルのビジネスモデルが2020年に実証され、dAppsのビジネスモデルも間も無く実証されると考えていますが、大きな収益を上げるにはより多くのユーザーが必要になるでしょう。
神話4
人々はdAppsを使用して、所有者になり、トークン価値を高めることができます。しかしこれだけでは価値提案としては弱いと考えています。長期的な価格上昇を求めるには、人々の行動を変えるほどの十分なインセンティブデザインが必要です。
つまり、各プロダクトは人々の真の問題を解決する必要があるということです。例えば、仕事を見つけたい、アイデアを共有したい、自分自身を表現したいなどの問題です。
プロダクトマーケットフィットとはこういうことです。ある問題が発生したとき、その問題を解決するためには、このプロダクトが最適なソリューションであると考える人たちを増やせなければいけません。
dAppsが市場に適合するようになるのはいつ頃でしょうか?5年後、10年後でしょうか?そんなことは絶対にありません。あと一年程度でそれは可能であると予想しています。
ゲームプラン
- dAppsの初期セットを使用して市場に適合するようにする
- 暗号コミュニティに積極的に参加・利用してもらう
- プロダクトの品質を向上させる
優れたプロダクトが市場に出回り、ネットワーク効果が発揮されるようになれば、あらゆる業界が最終的にWeb3に移行すると考えています。このプロセスをキックスタートさせるための最善の方法は、マスアピール製品を構築することですが、まず自分たちのコミュニティをターゲットにすることだと考えています。臨界点に達したら、メインストリームユーザーへと拡大していくことができます。
最初のステップ
Everestは、MetaCartelと共同で構築してきた実験ツールです。
「暗号コミュニティが定期的に利用できるような、Web3上で構築できるシンプルなものは何か?」
私たちがたどり着いたのは、オープンプロジェクトのレジストリであるEverestでした。
Everestは、暗号プロジェクトを発見し、最新の状態を維持するための最高の場所となることを目指しています。
Everestでは、ユーザーがプロジェクトを追加したり、カテゴリを定義して整理したり、他のリソースにリンクしたりすることができます。Web3のネットワーク効果を飛躍的に高めるためにも、皆様の積極的な参加をお待ちしています。 プラットフォームが成長するにつれ、個人のプロフィール、仕事、イベント、ブログなどWeb3上でキューレーションされるあらゆるものにリンクしていく予定です。
次世代のビッグ・プラットフォーム
Webのコアとなるプリミティブの誕生が確固たるものとなってから技術革新は爆発的に進みました。何百万ものウェブサイトが構築され、情報がグローバルに共有される方法が変わりました。
iPhoneのリリース後、携帯電話の新しい機能を利用したモバイルアプリの波が市場に出現しました。
Web3には独自の機能があります。開発者は、オープンなAPIとプログラマブルなお金を使って、より優れたビルディングブロックを持つことになります。ユーザーは、より多くのコントロールと選択の自由を手に入れることができるでしょう。開発者が簡単に構築できる魅力的なパッケージにこれらのピースをまとめたら、新しいレースが始まるでしょう。
私たちはスタートラインに近づいています。Ethereumが想像力に火をつけるイノベーションの潮流を作ったように、分散化に取り組むエンジニアたちは、そこから1つ上のレベルを構築していくことになるだろう。多くのプロトコルとコンポーネントで構成されたWeb3プラットフォームは、創造性を再燃させることになり、再び熱い世界が必ず戻ってきます。
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