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a16zパートナーChris Dixonが指し示す過去からの教訓と今すべきこと


a16zパートナーChris Dixonが指し示す過去からの教訓と今すべきこと

Chris Dixon — 2022年6月27日のツイートより


今後数年は、世界中の人にとって困難な時期となった2008年を彷彿とさせる、長期的な金融不況に見舞われる可能性があると言われています。

しかし、スタートアップの観点から見ると、状況は変わります。2008年とその後の3年間はその視点からは黄金期であったことがわかります。

Appleは2007年にiPhoneをリリースし、2008年にはapp storeがリリースされ、2009年には、才能ある創業者が続々と誕生したことがそれを示しています。現在まで急成長を遂げてきた新機軸のサービスであるUber、Venmo、Snap、Instagramなどのトップクラスのモバイルアプリのほとんどは、2009年から2011年にかけての設立企業によって生み出されたものです。

振り返って分析してみると、この時代はソーシャルメディアクラウドコンピューティングスマートフォンの台頭という3つの強力なトレンドの組み合わせによって推進されたことがわかります。

つまり、ソーシャル、クラウド、モバイルのそれぞれの直線的な改善によってではなく、その他ジャンルの組み合わせが指数関数的な改善を生み出していく可能性があるということです。

製品サイクルと財務サイクルに対する私の考えを下の図にまとめました:

重要なことは、製品サイクルと財務サイクルに関しては、ほぼ独立して進化するということです。一番上の図は、金融センチメントを示す例としてナスダック・インデックスを用いています。金融センチメントは、時には予測不可能なほど変動し、過剰に荒れ狂うことが多々あります。

次の行は、時代を象徴する新興企業や製品が誕生した年を示しています。このタイミングは、下段に示した製品サイクルによって決定されます。そして、製品サイクルは、独自の内部ロジックに従った変動を見せており、金融サイクルよりも比較的予測しやすい傾向があります。一般的に製品サイクルは、インキュベーション段階から始まり、アイデアを探求するユーザーが利用し、その後、マジョリティユーザーが使用する製品を作る段階となっていきます。

例えば、スマートフォンを作ろうという試みは、実際には1990年段階で始まっています。その後15年間にわたって、スマートフォンは水面下で進化し続けていましたが、インキュベーションフェーズから成長フェーズに移行したのは、iPhoneが発売されてからであったことは誰もが知るところです。

つまり、成長フェーズは、技術、人材、コミュニティの知識が正しく組み合わされたときに始まります。そして、このフェーズはインフラとアプリケーションの間の強化されたフィードバック・ループが生み出されることによって促進されていきます。

例えば、iPhoneが改良されると、より良いアプリが開発されるようになりました。誕生した「より良いアプリ」はiPhoneの売上に貢献し、Appleはより多くの投資資金を獲得することができ、さらに良いアプリが可能になっていく、といった具合のフライホイールです。

現在のハイテク産業は、2008年当時の状況とは全く異なっています。一握りの巨大企業がインターネットを支配し、経済的・文化的に大きな影響力を及ぼしています。こうした既存利権を持つステークホルダーは、いつか自分たちを脅かすかもしれない新しい動きに過敏に反応するものです。

私は、暗号技術とWeb3が、次の正のサイクルの中心になっていくと確信しています。既にこの領域の技術、人材、コミュニティの知識は臨界点に達しています。私がこの分野に携わってから約10年、エネルギーと創造性はかつてないほどの高まりを見せています。

もし、私たちが米国のリセッションをはじめとする景気後退に向かうのであれば、この2008年の時代から得られる戦術的な教訓がいくつかあります。

その主な教訓は、金融・財政的なノイズを無視し、製品サイクルに向き合って開発に集中すべきということです。