仮想通貨のエアドロップとは?
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暗号分野における「エアドロップ」とは、プロジェクトがトークンやその他のデジタル資産をコミュニティの対象者に広く分配することで、人々をを引きつける手法を指します。
はじめに
暗号分野では、プロジェクトがその独自トークンやNFTコレクションのリリースを宣伝・促進するためにエアドロップを実施することがよくあります。デジタル資産をユーザーに発行することで、プロジェクトはエアドロップによるマーケティングリーチ効果を活用して、初期段階のコミュニティメンバーの忠誠心に対する報酬としてトークンを配布するのが主なパターンとして知られています。
暗号資産は、プロトコル内の権利の管理や、NFTによるコンテンツへのアクセスの付与など、さまざまな時間軸で複数の用途を持たせることができます。もちろん、デジタル資産は流動性が高いため、エアドロップした資産は他の暗号通貨やフィアットに交換(売却)されることが多いのですが、近年、プロジェクト側はこのデメリットを改善するための措置を講じ始めています。
エアドロップによってコミュニティに報酬を与えるプロジェクトの最善の狙いは、配布資産を長期的に保有し、その価値の向上のために貢献する熱心なユーザーベースの拡大にあります。
エアドロップの仕組みと過去の事例
エアドロップは、暗号分野に特化した流通・マーケティング手法であり、いくつかの種類が存在します。そのほとんどは、ユーザーが所有するウォレットアドレスで無料のデジタル資産を受け取るために、何らかの登録イベントを開催するものです。
その仕組みによっては、エアドロップを受け取るためにユーザーに特定のタスクを実行させるケースもありますが、目的は同じで、ユーザーのウォレットアドレスを期限までに提出させて、記録することになります。
プロジェクトによるエアドロップの実施事例をいくつか示しましょう:
- ユーザーは、プロジェクトから提示されたオンラインタスクを完了し、エアドロップを受け取るための資格を得る。
- ウォレットに特定の暗号資産を保有していることを条件に、その保有者に暗号資産を自動的に分配する。
- プロジェクトにとって望ましい行動をしている参加者のアドレスをスナップショット撮影し、熱心な貢献者に対してピンポイントで暗号資産を分配する。
エアドロップを取得するためには、ウォレットアドレスが必要であり、自分自身を「登録」するために何らかの形でスマートコントラクトと対話する必要がある場合もあります。
史上初の暗号資産のエアドロップは、2014年にAuroracoinを使用したものであると言われています。永住権を持っているアイスランド国民全員に31.8AURが配られました。このケースでは、ほとんどの保有者が売却し、プロジェクトの価値は数カ月で暴落、すぐに売らなかったトークン保有者は流動性のない無価値な資産を保有する結果となりました。
成功には至らなかったものの、Auroracoinはこの斬新なゲリラマーケティングの手法を導入し、その後多くのプロジェクトでこの手法が採用されることになりました。2017年には、様々なプロジェクトのエアドロップイベントを集約する情報サイトが数多く立ち上げられ、エアドロップを取り巻く参加者の興奮の高まりは絶頂を迎えました。
歴史的に注目すべき例としては、Stellar、Bitcoin Cash、Uniswapといったエアドロップがあります。Stellarの場合、当時の価値で1億ドル以上のXLMトークンがウォレットホルダーにエアドロップされました。
Ethereumで絶大な人気を誇るDEXであるUniswapは、アーリーアダプターに対してUNIトークンをエアドロップすることで、参加者を驚かせました。Uniswapは、そのDEXと(AMM)の利用者を遡及する形でしてウォレットあたり400トークンを配布しました。プロトコルを使うことでエアドロップ対象として認証される仕組み(いわゆる給付金)はここから広がったと言えるでしょう。このエアドロップは当時、全ての対象者に約1,400ドル相当のUNIをもたらしました。これは、特に当時としては大規模な暗号エアドロップとして波紋を呼び、Uniswapが最初のエアドロップキャンペーンに費やした資産価値は3億5千万ドルに及びます。を用意したのです。2020年9月以前にプロトコルとやり取りしていたウォレットは、400UNIトークンを請求することができました。
エアドロップには様々な要因が絡むため、その効果に関して説得力のあるデータは実際のところありません。エアドロップが価格にネガティブな影響を与えるとしても、短期的なものであると考えられています。例えば、前述のUNIの価格はエアドロップ後はしばらく2ドルから4ドルの間で推移していましたが、2021年のブル熱の中では価格が40ドルを突破しています。
Uniswapがこの手法を生み出した後は、他の多くのプロジェクトがこれに追随していくようになりました。
その後のエアドロップの代表例としては、猿のNFTで知られているBAYCが挙げられます。BAYCのNFTホルダーには、Mutant Ape Serumsや犬版のシリーズNFTがエアドロップされ、どちらも一定の価値を維持しています。
このような経緯の中で、エアドロップは現在ではかなり一般的なものとなった反面、多くの議論も巻き起こっています。
エアドロップへの批判
エアドロップの仕組みにはリスクがないわけではありません。エアドロップはKYC要件の対象となることが多いため、エアドロップに参加したくないというユーザーも数多く存在します。さらに、参加にはガス代がかかることもあり、ApeCoinのエアドロップのタイミングでも見られたように、エアドロップが実行される時間帯にガス代が高騰してしまうケースもあるのです。
また、一部の流動性の低いアルトコインの場合「パンプ・アンド・ダンプ・スキーム」に注意する必要があります。意図的に流動性の低いトークンの価格をつり上げ、市場に投棄するように設計されたエアドロップの悪き仕組みも存在することを知っておくことが必要でしょう。
米国を含む多くの地域では、エアドロップされたトークンも所得とみなされるため、エアドロップを希望するしないにかかわらず課税対象となる可能性があります。KYCが標準になりつつあることから、望まないエアドロップはかつてほどなくなってきてはいますが、それでもいたちごっこに近い状況にあります。
まとめ
エアドロップは、Web3プロジェクトにおけるスタートアッププロジェクトの斬新なマーケティング手段の1つとして一定の効果をあげています。実際、総供給量のうちエアドロップ用として特定の量のトークンを割り当てることは、今や当たり前のことになってきています。
ユーザーにとっては、エアドロップは利益を生む仕組みではありますが、中には参加するための時間的コストや機会費用がかかるものもありますので、慎重に進めることが必要です。はっきり言って単に無料で獲得できるエアドロップを探し続けて収益化するのは、結果的に利益率が低いものとなり、エアドロップ希望者から搾取しようとする悪質業者との接点を生むリスクも高くなるため、有効な戦略とはならないと考えられます。
暗号分野に関する全てのことと同様に、まずはプロジェクトとそのトークンの真の価値と有用性を徹底的にリサーチし、エアドロップを目的とするのはなく、優良だと思うプロジェクトに参加する上でのボーナスとして利用することが賢明な方法だといえるでしょう。
暗号/ブロックチェーン分野は特定のプロジェクトのみが生き残る世界ではなく、分野全体の成長が必須となります。また、理解もせずにトークンのみを追うというのは非常にナンセンスです。Supra Oraclesは、今後も継続的に教育材料を提供していきます。