GNTと流動性の重要性について
May 12, 2022
Flowcarbon / 翻訳:Takeshi_TGAL
流動性とは
流動性とは、効率的な市場の中核をなすものであり、資産価格に大きな変化を与えることなく、市場で資産を購入/売却できる能力を指します。
例えば、ボブがスパイダーマンのプレミア本を数冊持っているとします。彼は、同じ本が1冊が最近50,000ドルで落札されたという記事を見ました。ボブは興奮し、本を売却することにしました。そして、本の買い手を見つけようとしましたが、45,000ドルが最高額で、ボブもそれに同意することになりました。ボブは、想定していた本の価値よりも5,000ドル少ない額を手に入れることになりました。一方、アリスは50,000ドル分のアップル株を持っています。彼女はその株を売ろうと思い、オンライン証券会社で取引を実行します。彼女は、苦労することなく迅速に口座に50,000ドルを受け取ることができました。
希少な本は、非流動性市場の一例であり、個々の販売ごとに価格が大きく変わる可能性があります。一方の株式市場は流動的な市場の例であり、大きな売買があっても価格はほとんど変化しません。
流動性が重要である理由はいくつかあります。まず、買い手と売り手の取引が容易であることが保証されます。これによって、市場のボラティリティが下がり、価格推移がある程度予測できる為、市場参加者が抱えるリスクも軽減されます。もう一つ、間違いなく最も重要なのは、商品に対する透明性の高い価格シグナルを作り出すということです。
流動性とカーボン市場
現在のボランタリーカーボン市場は、流動性の低い市場の典型例となっており、これは主に2つの力によって引き起こされています。
第一に、カーボンクレジット自体の不均質性です。最大のカーボンレジストリの1つであるVerraは、43の異なる方法論を持っています。方法論は、独自のタイプの炭素回避・除去プロジェクトに対するルールと定量化手法を定めたものです。冷媒の流出の検出から森林破壊の回避、建物の耐候化に至るまで、あらゆる種類の方法論が存在します。これらの方法論に、それぞれ異なるヴィンテージ(生産年)が加わり、クレジットの価値評価基準はさらに分断化されます。2008年に発行された建築物耐候性クレジットは、2021年に発行された森林破壊回避クレジットと本当に同じ価値があるのでしょうか?
カーボン市場の流動性を低下させる第二の要因は、取引手法が定まっていないということです。多くの場合、ある組織がカーボンクレジットを購入しようとする場合、まずは仲介業者に連絡し、その仲介業者がカーボンクレジットを販売している他の仲介業者と連絡を取ります。そして、価格が決定され、売買が成立する形です。このプロセスは、取引所を介することなく個々に行われます。仲介業者によって価格が異なることも多く、カーボンクレジットの購入者は価格についての透明性を得ることはできません。また、仲介業者が高額の手数料を取ることが多く、購入者が実際に受け取る価格シグナルの正当性ををさらに歪めています。
カーボン市場の流動性の不足は、市場の成長に深刻な障害をもたらしているのです。そのため、二酸化炭素排出量を削減しようと取り組む組織も参加を控えてしまうようになり、炭素削減プロジェクトの開発者は新たなプロジェクトのローンチに必要な資金を確保することが困難になってしまいます。これまでこの問題の解決は困難なものとして知られていましたが、私たちはWeb3のイノベーションが解決策をもたらすことを確信しています。
Goddess Nature TokenとWeb3の力
カーボンクレジットのトークン化は、流動的なカーボンマーケットの構築に向けた第一歩となるものです。それぞれのカーボンクレジットの根底にどのようなプロジェクトがあるのかの証明や、クレジットの取引履歴をデジタル化し、不変の記録とすることで、透明性とトレーサビリティの問題に対処することができます。また、トークン化によって、カーボンクレジットが分散型金融(DeFi)の世界にも開放することができます。DeFiは自動マーケットメーカー(AMM)によって、多くの資産に流動性を提供しています。
しかし、トークン化だけで全てが解決されるわけではありません。ユーザーがトークンの元になるプロジェクトの種類やヴィンテージに価値を見出す中で、異なるカーボンクレジット担保トークンが異なる価格で取引される可能性があります。トークン化された特定のカーボンクレジットの流動性プールは浅く、数も少なく、市場にはオフチェーンで直面しているのと同じ課題が残ることが想定されます。
そこで「バンドル」というコンセプトが役立ちます。バンドル開発の目的は、カーボン市場への流動性の導入です。バンドルは、トークン化されたカーボンクレジットのうち、一定の基準を満たすものを集約し、その集約された資産に対する権利を表す「バンドルトークン」を発行することで機能します。FlowCarbonの最初のバンドルトークンは、Goddess Nature Token(GNT)です。GNTは、ヴィンテージが5年以下の自然由来のカーボンクレジットのみを受け入れます。
バンドルは、流動性を深めるためのインセンティブ・フライホイールを生み出します。より多くのトークン化クレジットがバンドルに預けられると、GNTの数が増え、分散型取引所での流動性プールを作りやすくなります。GNTの流動性が高まるにつれて、バンドルされていないカーボンクレジットの保有者は、流動性の低いトークンをGNTにバンドルするインセンティブが働きます。バンドルはまた、GNTのようなバンドル化トークンとバンドルされていないカーボンクレジットの間にアービトラージの機会を生み出し、トレーダーや資本をエコシステムに誘い込み、さらなる流動性の深化につながります。
Flowcarbonは、このバンドル化とGNTトークンを通じて、カーボン市場のコアとなる課題の1つに取り組み、自然ベースの炭素削減ソリューションの価格シグナルを確立し、開発者が次世代の地球保護プロジェクトを構築するために使用できるようにしたいと考えています。