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なぜ、カーボンオフセットのデジタル化が必要なのか?


なぜ、カーボンオフセットのデジタル化が必要なのか?

March 8, 2022

Flowcarbon / 

翻訳:Takeshi_TGAL

ブロックチェーン(分散型台帳技術)は、ボランタリーカーボン市場(VCM)の根本的な課題の多くを解決し、気候変動対策を推進するための重要な役割を果たすことができます。

既存の課題の一部は、大半のカーボンクレジットが新興市場で創出されるという事実に起因しています。新興市場においては、資産の所有権の確認が困難で、銀行などの仲介者の存在は、充分でないか存在しない場合があります。この点において、ブロックチェーンの分散型ソリューションを用いることで、これらの課題の多くを解決することが期待されています。

また、カーボンクレジットをオンチェーン化することで、これまで欠如していたVCMに高い透明性と流動性をもたらすことが可能になります。これによって、カーボンは、リスク調整後のリターンが向上し、他の資産クラスとの相関性が低い貴重な資産クラスへと変化し、市場に参入できなかった機関投資家にとってますます魅力的な存在となる可能性があります。

需要は確実に高まりを見せており、「ネットゼロ」排出(CO2排出量と大気中からの除去量が均衡した状態)を目指す企業は急増しているのが現状です。これらの企業の多くは、ビジネスやサプライチェーンの中で排出削減が困難な部分について、効果的な技術が確立されるまでの間、オフセットを購入することを選択することになります。

企業は、このような取り組みによって、驚異的な速度で失われつつある熱帯雨林など、地球の自然な炭素吸収源を保護する上で重要な役割を担うことになります。カーボンクレジットによる企業のオフセット購入は、大規模な熱帯雨林の保護を含む、気候緩和、環境の回復、持続可能な開発目標に貢献する世界中のプロジェクトにとっての不可欠な資金源となります。プロジェクトは、自発的に排出量を削減(例:森林破壊の防止または減速)または炭素を除去(例:植林)することによってカーボンオフセットを生成します。

実際にVCMは急速な成長を見せており、昨年には10億ドルの大台に乗りました。カーボンクレジットの発行は2021年にほぼ倍増の3.5億トンCO2換算(tCO2e)、需要の代替とされる償却は2021年に0.159億tCO2eと、2020年に比べ倍増しました。

現在の世界全体のCO2排出量が360億tCO2e以上であることから、VCMはその1%弱をカバーしている計算になります。このVCMの潜在的な成長力は非常に大きく、2050年までに15〜100倍の規模に拡大し、低炭素社会の実現に重要な役割を果たすと試算されています。

VCMの問題点

VCMには、民間のプロジェクトやプログラム開発者、非政府組織(NGO)、手法やプロジェクトの種類の違いに至るまで、多くの形のステークホルダーが存在します。購入サイクルは遅く、高価であるため、参加希望者の多くのがアクセスできないという状況があります。オフセット購入の大部分は、取引所ではなく、何重ものブローカーを通して当事者間で行われます。そこには明確な価格やデータといった情報源が存在しません。購入希望者は通常、多数のブローカーや小売業者からオファーを受け、各オファーが示すプロジェクトや発行レベルを調査し、KYCプロセスを経て、購入についての契約交渉に入ることになります。このプロセスは数週間かかることもあり、炭素の専門知識、法的資源、カウンターパーティーリスクを必要とし、この資産を購入しようとする人にとっての大きな参入障壁となっています。

このような構造的な課題の多くは、基盤となるカーボンクレジットを表す資産担保型トークンを作成し、チェーン上でそれらを管理・明示することで、市場の透明性と流動性を高めることによって解決につながります。

VCMはその大半が規制された、あるいは強制的なカーボン市場の外で運営されており、一般の購入者にとってこの複雑な市場に参入するのはを非常に困難なものとなっています。また、VCMは非常に多くの異なる事業者によってその販売が支配されているため、価格に関する透明性が圧倒的に欠如しているのです。

ブロックチェーンが提供するソリューション

カーボンオフセットに裏付けられたトークンは、デバイスや金融システム間で相互運用可能なスマートコントラクトを使用して構築されており、VCMのゲームチェンジャーになり得るポテンシャルを持っています。実際に、VCMで特定されている課題とブロックチェーン技術の有望性には、驚くほどマッチする部分が存在します。

第一に、カーボンクレジットをオンチェーン化することで、業界は各クレジットのライフサイクル(生成、売却、取引、終了)を通じて、全てのステークホルダーに対して高い透明性を持つ記録を示すことができます。

第二に、ブロックチェーンは、参入障壁の低減することで、既存のカーボン市場が持つ低い流動性を改善する方法となり得ます。レジストリからカーボンクレジットを購入するために必要だった長いプロセスを排除し、既にブロックチェーンシステムを利用している何百万人もの人々の参加をもたらすことができます。また、ブロックチェーンは、この悪しき仲介構造を迂回して、供給者と購入者間に効率的で低コストの取引を提供します。

2021年のVCMでは約3億tCO2eが取引されましたが、その大半は店頭取引でした。このうち、XpansivのCBL取引所では1億2150万tCO2eが取引され、前年の約3倍となりました。一方で、先物市場は未成熟であり、CMEでは2021年に650万tCO2eが取引されただけでした。

オンチェーン取引においては、昨年の数カ月で1700万tCO2eにまで増加しましたが、これらのオンチェーン・カーボンクレジットは、その大半が低品質であり、既にオフチェーンで引退した「非生存」クレジットが存在し、従来のオフセット市場では価値を失いつつありました。しかし、このような関心の高まりは、少なくともブロックチェーンがより広範な層の人々をカーボン市場に引き込むことができることを示すものでもあります。

これまで金融機関やプロジェクト開発者、そしてNGOが、VCMの構築に注力してきたのに対し、一般的にはまだその概念にほとんど馴染みがないのが現状です。ブロックチェーンを活用することで、カーボンクレジットの所有や償却に対する人々の関心と関与を深めるとともに、社会全体が気候変動対策のために団結して取り組むことを促進する効果を生むでしょう。

ブロックチェーンが提供する最後のソリューションは、カーボンオフセットプロジェクト開発者の専門知識とDefiエコシステムの資本をマッチングさせることで、カーボンオフセットフォワードマーケットを解放することです。

カーボンクレジットからの収入は通常、カーボンクレジットの引き渡し(売却)時にしか受け取れないため、プロジェクト開発者は通常、資金不足に直面します。これは、プロジェクト開始日から2~10年後になることもあります。

スマートコントラクトを通じてカーボンオフセット購入のコミットに関する予測可能性と透明性を高めることで、排出削減プロジェクトに対してより正確な投資シグナルを提供することが可能になります。

なぜプロジェクト開発者はこの資本を必要とするのでしょうか?

なぜなら、彼らは専門知識と地域社会、NGO、その他のステークホルダーとのパートナーシップを駆使して、世界中のカーボンオフセットプロジェクトを発案し、財務リスクを負担しているからなのです。

ブロックチェーンとは「1990年代のインターネットのようなもの」

世界銀行は、ブロックチェーンは1990年代のインターネットに近いものであり「奇妙で恐ろしい」と言及しました。一方で、彼らはパリ協定第6条に基づく世界のカーボン市場の台帳として機能するオープンソースブロックチェーン「Climate Warehouse」を試験的に導入しているという動きもあります。

Climate Warehouseプロジェクトは、台帳を公共財と見なしており、彼らによるこの技術の支持は、気候変動に対する取り組みにおいてブロックチェーンの活用が有望であることを示すものでるといえます。

ブロックチェーン技術に対する批判の多くは、エネルギー使用量の多さに関するものです。これは、古いブロックチェーンが、計算効率の悪い「プルーフ・オブ・ワーク」コンセンサスメカニズムを使用していることに起因しています。

しかし、新たに台頭してきたPolygonなどの新世代のブロックチェーンは、Ethereumのスマートコントラクトを使用して構築されており、前述のものと比較して計算負荷がはるかに低く、エネルギー消費量も少なくなっているという特徴があります。新たにマイニングされたブロックチェーントークンを検証するために、古い「プルーフ・オブ・ワーク」アプローチではなく「プルーフ・オブ・ステーク」を使用することによって、排出される炭素あたりの回避炭素比率を1億分の1に低減しているのです。

そして、ブロックチェーン技術の活用によるカーボンオフセットの為の新たなデジタルインフラを提供することで、VCMは簡素化され、無駄な仲介を排除し、近代化することができるのです。

カーボンオフセットのデジタル化は、専門用語や技術的な問題を超えて、急速に拡大し、人々に力を与えることができ、地球の最大の課題に取り組むための大きな助けとなるでしょう。


Flowcarbonについて

Flowcarbonは、カーボン(炭素)をチェーン上に配置し、暗号市場のスピードと規模を活用することで、地球の自然な炭素吸収源を保護し、地球を救うプロジェクトに資金提供します。

気候変動の緩和には、集団による行動が必要です。そのため、個人でオフセットをお考えの方にも、組織としてオフセットをお考えの方にも、それぞれのニーズに合わせたカーボンソリューションを提供します。実際に、多くの組織がカーボンオフセットを利用して、ネットゼロの目標達成に取り組んでいます。

Flowcarbonは、カーボンクレジットをチェーンに乗せ、トークンに変換し、ボランタリーカーボン市場をより透明で、流動的で、アクセスしやすいものにします。そして、フラッグシップトークンであるGNTは、組織レベルのカーボンクレジットに支えられており、個人および企業のオフセットニーズに適合して機能します。

地球を守るために、Flowcarbonがどのように世界中の人々のオフセットニーズをサポートできるかについて、各コンテンツをフォローして情報を入手していきましょう。

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翻訳:Takeshi_TGAL