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データNFTの革新性とOcean V4で果たす役割


データNFTの革新性とOcean V4で果たす役割

Jamie

Ocean Protocol V4が登場しました。この大きなアップグレードのトピックの一つにデータNFTがあります。NFTの革新性は既にご存知でしょう。しかし、その革新性というのは単に画像を貼り付けたNFTが標榜する価値(のようなもの/誇大広告)ではありません。さまざまな要素と掛け合わされることで、真に有益なものとなるのです。

この記事では、データNFTとは何か、そしてOcean ProtocolのV4でデータNFTが果たす役割について見ていきたいと思います。なぜOcean Protocolがスマートコントラクトをアップグレードして、データNFTを作成することにしたのか不思議に思っているのなら、それは正しいセンスをお持ちだと思います。

Sections
1. What Are NFTs?
2. So What’s a Data NFT?
3. Data NFTs Open Up New Possibilities
4. How Are Data NFTs Implemented?
5. What About Fractional Ownership?
6. What Roles Can The Data NFT Owner Assign?
7. Data NFTs Are Awesome

NFTとは?

まず最初に、NFTとは何かということを再確認しましょう。非代替性トークンを意味する「Non-fungible token」の頭文字をとったものであることは既にご存知でしょうが、これはどういう意味でしょうか。

代替性のある通貨やトークンとは、同一のトークンや通貨単位(ドル、ポンド、BTC、ETHなど)と交換できるものを指します。つまり、NFTが非代替性であるということは、特定のNFTの代わりとなる同一のものが存在しないということです。NFTは、マークが付けられたドル紙幣と同じであり、NFTの「マーク」は、スマートコントラクトに保存されているハッシュになります。

NFTは、ブロックチェーン上で、ユニークな資産を表現するのに理想的な機能性を持っています。過去18ヶ月の間に、GIFからツイートまであらゆる種類のデジタル資産を表すNFTが作成され、その数は爆発的に増加しています。

NFTの最もエキサイティングな用途は、NFTが知的財産(IP)をオンチェーンで表現する可能性があることです。Ocean Protocolのブログの常連なら、私たちが知的財産を表現するNFTの応用にどれほど関心を持っているか、よくご存じでしょう。このトピックの背景をより詳細に理解されたい方は、以下をお読みになることをお勧めします::

  1. NFTs & IP 1: Practical Connections of ERC721 with IP
  2. NFTs & IP 2: Leveraging ERC20 Fungibility
  3. NFTs & IP 3: Combining ERC721 & ERC20

データNFTとは?

データNFTは、ブロックチェーン上のデータ資産の著作権(または著作権に対する独占的ライセンス)を表し、私たちはこれを「ベースIP」と呼んでいます。ユーザーが、Ocean V4でデータセットを公開するとき、そのプロセスの一部として新しいNFTを作成します。このデータNFTは、ベースIPの主張を証明するものです。有効な主張であると仮定すれば、土地や住居の権利証書が家賃を受け取る権利を付与するように、その資産から収益を得る権利を持つことができます。

データNFTスマートコントラクトは、データ資産に関するメタデータを保持し、「データトークンをミントできる人」や「料金を管理する人」などの役割を格納し、カスタマイズを可能にするオープンエンドのキーバリューストアを備えています。

NFTを制御する秘密鍵を持っていれば、そのNFTの所有者になります。所有者はベースIPに対する請求権を持ち、あらゆる収益のデフォルトの受取人となります。また、収益を受け取るために別のアカウントを割り当てることも可能です。これにより、データ提供者は、ベースIPとそれに付随する収益を販売することができるのです。データNFTが、別のユーザーに譲渡された場合、役割と収益の受け取り先に関する全ての情報がリセットされます。収益のデフォルトの受取人は、データNFTの新しい所有者となるのです。

データNFTが切り開く可能性

データNFTを利用することで、NFTエコシステムとそれに付随するさまざまなツールや可能性を活用することができます。例えば、多くの主要な暗号ウォレットは、NFTを第一線でサポートしており、これらのウォレットからデータNFTを管理することができます。また、OpenSeaRaribleなどの人気のあるNFTマーケットプレイスに、データNFTを掲載して販売することも可能です。さらなる例としては、WiseKeyチップを介してデータNFTを物理的なアイテムにリンクさせることも可能となります。

データNFTはどのように実装されるのか?

Ocean Protocolは、ERC721標準を使用してデータNFTを実装しています。この実装は、実績のあるOpenZeppelinコントラクトライブラリ上に構築されています。ここには、興味深い要素がたくさんあります。

私たちは、2020年末にOcean V3をリリースしました。V3では、単一のERC20データトークコントラクトテンプレートがあり、全てのデータトークンはその実装に従わなければなりませんでした。昨年は、Ocean Protocol上に構築する様々なプロジェクトが大きく成長しました。このことを念頭に置き、V4の主要な目標は、可能な限りの柔軟性を導入することでした。特に、V4ではデータNFTテンプレート、データNFTキーバリューストレージ、データトークンテンプレートに柔軟性を持たせています。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

Ocean V4のデータNFTファクトリーは、様々なテンプレートに基づき、異なるタイプのデータNFTをデプロイすることができます。あるテンプレートはデータユニオン用に、あるテンプレートはDeFi用に、またあるテンプレートはエンタープライズユースケース用にチューニングすることが可能です。

データNFTで私たちが非常に期待しているのは、Luksoが推進するERC725Yという最先端規格です。ERC725Yは、NFTのオーナー(または「ストアアップデーター」の役割を持つユーザー)が、キーバリューストアに情報を入力・更新できるようにする機能です。これらの値は、誰でも外部から見ることができます。

ERC725Yは非常に柔軟性が高く、あらゆる文字列の保存に使用できます。メタデータの追加から暗号化された値まで、あらゆる用途に使用することができます。このため、データNFTの将来性を高め、まだローンチしていないさまざまなプロジェクトに対応することができます。ご想像のとおり、ERC725Yの組み込みは大きな可能性を秘めており、今後どのような方法でERC725Yが使用されることになるのを楽しみにしています。もし、興味があれば、EIP725をご覧になってみてください。

柔軟性というテーマを続けると、与えられたデータNFTに対して、ERC20データトークコントラクトを持つことが可能になりました。つまり、1.0データトークンによって、対応するデータセットを消費することができます。別の言い方をすれば、基本IPから(データ提供者に送る際に)ライセンス条件に従ってデータセットを使用できるようにするためのサブライセンスです。ライセンス条件は「適したデフォルト」から設定することも、データNFTの所有者が設定することも可能です。ERC20ファンジブルトークン標準は、ライセンス自体がファンジブルであるため、データトークンとして自然な選択と言えます。ERC20標準を使用することで、ERC20ベースのウォレット、DEX、DAOなどとのデータクンの相互運用が可能になります。データトークンは、贈与(譲渡)、マーケットプレイス/取引所での購入、エアドロップなどが可能です。

データNFTは当初、ERC20データトークコントラクトがない状態で公開することができます。これは、データ資産へのアクセスをまだ許可する(サブライセンスする)準備ができていないことを意味します。その後、データNFTに対して1つまたは複数のERC20データトークコントラクトを発行できます。あるデータトークコントラクトは1日、別のデータトークコントラクトは1週間など、消費権を柔軟に付与することができます。データトークコントラクトは、それぞれ異なるライセンス条件に対応します。

Ocean ProtocolはERC20データクンを販売するために、固定価格(アトムスワップ)、またはAMMプール(Balancerのフレンドリーフォーク)による自動価格設定という便利な方法を提供します。他のERC20トークンと同様に、データトークンも多くの分散型取引所(DEX)、中央集権型取引所(CEX)、店頭またはその他の場所に上場することができます。

ラクショナル・オーナーシップとは?

ラクショナル・オーナーシップは、NFTとDeFiの交差点にあるWeb3のエキサイティングなサブニッチであり、データIPの共同所有権を可能にします:

  1. Oceanはフラクショナル・オーナーシップに2つのアプローチを提供します。ERC20データクンをシャーディングで保有し、各ERC20データクンの保有者は上記のような通常のデータクンの権利、例えばアセットを消費するための1.0データクンを持つことができます。これはOceanですぐに利用できます。
  2. ERC721データNFTのシャーディングでは、各共同保有者がベースIPに対して何らかの収益を得る権利を持ち、データNFTを共同管理します。例えば、データNFTを保持することだけを目的としたDAOがあり、このDAOは独自のERC20トークンを持っています。DAOメンバーはトークンで投票してデータNFTの役割を更新したり、ERC721に対してERC20データークンをデプロイします。

注:(2)については、Niftexのようなものでシャーディングを行うことも考えられるでしょう。しかし、その場合、シャードホルダーは具体的にどのような権利を得るのか、という疑問が生じます。例えば、Amazonの株主は、株を持っているからといって、Amazonのオフィスの廊下を歩く権利はないわけです。また、シャードホルダーはどのようにデータNFTをコントロールするのでしょうか。これらの疑問は、上記のようにトークン化されたDAOを使用することで解決します。

データDAOは、データを共同管理したい、あるいはより大きな団体による影響力を持つためにデータを束ねたい人々のグループがあるケースにおいて、適したユースケースとなります。

次のモバイルアプリの例を考えてみましょう。アプリをインストールし、暗号ウォレットを内蔵し、アプリに位置情報を見る許可を与え、アプリはあなたに代わってDAOにあなたの(匿名化された)位置情報を売ってもらい、DAOはあなたのデータを他の何千ものDAOメンバーと一緒に束ねて売り、DAOメンバーとしてあなたは利益の一部を得ることができるのです。

これにはいくつかのバリエーションがあります。各メンバーのデータフィードは、関連するデータトークンを持つ独自のデータNFTである可能性があります。あるいは、全メンバーのデータフィードを1つのフィードに集約したデータNFTがあり、そのフィードはERC20トークンのシャーディング保有(上記1)またはERC721データNFTのシャーディング(上記2)により分数化されているだけの場合もあります。もしあなたがデータユニオンを始めることに興味があるなら、私たちのパートナーであるデータユニオンと連絡を取ることをお勧めします。

データNFTの所有者に割り当てられる役割は?

前述したように、データNFTはアセットのベースIPであり、全てのデータトークンはデータNFTスマートコントラクトにリンクされています。私たちは、プロジェクトの管理方法に柔軟性を与える便利な役割の数々を導入しています。これは、規模を拡大し、管理レベルを導入する準備ができている企業やスタートアップにとって、大きな助けとなるものです。

NFTオーナー
NFTオーナーはベースIPの所有者であり、最上位に位置します。NFTオーナーは、あらゆるアクションを実行し、あらゆる役割を割り当てることができますが、重要なの部分は、「マネージャー」としての役割を割り当てられる唯一の存在であることです。NFTオーナーは、データNFTの導入または移管に伴って、自動的にマネージャーとして追加されます。また、NFTオーナーは複数のユーザーに割り当てることができない唯一の役割です。この役割を共有する唯一の方法は、マルチシグまたはDAOを介することです。

マネージャー
マネージャーは、3つの役割(デプロイ、メタデータ更新、ストア更新)を割り当てたり、取り消したりすることができます。また、ERC725のデータをコントロールすることも可能です。

ERC20デプロイヤー
デプロイヤーは ERC20データトークンレベルで多くの権限を持ちます。新しいデータクンをデプロイし、ベスティングとステーキング、固定価格交換、新たなプールを作成することが可能です。また、ERC725Yのキーバリューストアを更新したり、ERC20レベルの役割を割り当てることもできます。

メタデータ・アップデーター
また、メタデータを更新するための特定の役割があります。メタデータ・アップデーターは、マーケット内のアセット詳細ページでユーザーに表示されるデータアセットに関する情報(タイトル、説明、サンプルデータなど)を更新する役割を担います。

ストア・アップデーター
ERC725Yの実装(ERC721レベル)を用いて、任意のキーバリューの保存、削除、更新を行うことができる役割です。この役割の活用例は、ERC725Yのキーバリューのペアにどのようなデータが保存されるかに大きく依存します。

ミンター
ミンターは、新たなデータークンをミントする能力を持っています。多くの場合、この役割は使用されないでしょう。その代替として、多くの利点を持つサイドステーキング・ボットによっってデータトークンがミントされるからです。

フィーマネージャー
データ資産が消費されたときに、データトークンを受け取るアカウントです。フィーコレクターアカウントが設定されていない場合、データトークンはデフォルトでNFTオーナーに送信され、受信したデータトークンから、適用される手数料(マーケット手数料とコミュニティ手数料)が自動的に差し引かれます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事の結論は、ズバリ「データNFTは素晴らしい」ということです。

以下がその理由のまとめです:

  1. ベースIPがトークン化され、オンチェーン化される。つまり、既存の暗号ウォレットから販売、取引、譲渡することができます。
  2. データNFTは、データトークン(ベースIPのライセンス)を作成・販売することで、所有者本人が簡単に収入を得ることができます。つまり、データNFTは単なる投機的資産ではなく、継続的かつ具体的なインカム資産としてのの可能性を秘めています。
  3. 互換性を確保するために共通のERC721標準を使用しているため、NFTのエコシステム全体のツールを利用することができます。さらに、柔軟なキーバリューストレージ(ERC725)とDeFi / ERC20エコシステムツール(ERC20としてのデータトークン)を入手することができます。
  4. データの所有権は、分数所有権によって分割して共有することができるようになります。これは特にデータDAOに適しており、集団でデータを共同管理したり、データを束ねてより強い団体交渉ができるようになります。
  5. データNFTの所有者は、他人に割り当てることができる様々な役割を通じて、組織の管理方法について非常に大きな柔軟性を持っています。これは、企業や規模を拡大しようとする新興企業にとって完璧な有益性になります。

データNFTは、Ocean V4で導入された数多くのアップグレードの一部に過ぎません。Ocean V4での収益化方法とプールでのステーキングに対する新しいアプローチ(より安全に)についてもご興味があることでしょう。

ご質問やご意見がありましたら、DiscordまたはTelegramまで遠慮なくどうぞ。Ocean V4とデータNFTをどのように使っていただけるか楽しみです。


Ocean Protocolについて

Ocean Protocolのミッションは、世界に広がるWeb3データエコノミーを始動させ、データの所有者が持つべき権利を取り戻し、人々がデータから本来得られる価値をもたらす世界を構築する事です。

データは新たな資産クラスであり、Ocean Protocolはその価値を引き出します。データの所有者と消費者は、Ocean Marketアプリを使用して、安全でプライバシーが守られた方法でデータ資産を公開、発見、消費できるようになります。

Ocean Protocolのデータトークンは、データを「データ資産」に変えます。これによりウォレットや取引所、その他のDeFiツールを活用して、データウォレット、データ交換、データ協同組合を実現します。プロジェクトは、OceanライブラリやOCEANを自分のアプリで使用し、Web3データエコノミーの推進に貢献していきます。

トークンとしてのOCEANは、データへのステークやデータの売買、ガバナンス投票などに使用されます。トークンの供給は、短期的な成長と長期的な持続性を促進するために時間をかけて分配され、利用量の増加に応じて増加するように設計されています。

詳しくはoceanprotocol.comをご覧ください。

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