The Graph: ローンチ1年目とWeb3ルネサンス
Yaniv Tal
The Graph Networkは、ローンチから1年が経過して、Web3のための活気あるエコシステムへと発展をとげています。 次の1年は、さらに明るいものになるでしょう。
今日のThe Graphに参加してくれたすべての人に感謝しています。
ご存知ない方のために説明しますと、The Graphとは、ブロックチェーン上のデータを整理し、そのデータをサブグラフと呼ばれるオープンなAPIで誰でも簡単に照会（クエリ）できるようにするプロトコルです。暗号プロトコルは、世界中の人が世界のどこにいても協調できるようにする新しい組織構造により成り立っています。この、暗号技術を活用したインターネットネイティブな機関であるThe Graphの作業は、次のような参加者によるオープンネットワークにより機能しています。
データを提供するコンピュータを運営するインデクサー、データを整理するキュレーター、トークンをステークすることでネットワークにセキュリティを提供するデリゲーターです。この機会に、今年の記念すべき1年を振り返り、今後の1年を展望してみたいと思います。
The Graph Networkは、ステークホルダーの皆様の参加が非常に活発です。
現在、160人のインデクサー、7,400人以上のデリゲーター、2,200人以上のキュレーターがネットワーク上で活動しています。インデクサーには26億GRTがステークされ、200以上のサブグラフに300万GRT以上がシグナリングされており、The Graphは世界で最も使用されている暗号プロトコルの一つとなっています。コミュニティは、フォーラム、コミュニティコール、コア開発者ミーティングを通じて組織され、参加者は自分の声を聞き、プロトコルの進化に貢献しています。
プロトコルは、従来の企業よりもはるかに効果的に人間の調整能力を高める方法であることがわかっています。企業がトップダウンで計画を立て、特定の求人情報に基づいて雇用するのに対し、プロトコルはオープンアクセスとパーミッションレスで仕事をする自己組織的なものです。例えば、The Graphには現在5つのコア開発チームがあり、さらに100人以上の貢献者が、The Graph Foundationから助成を受けてエコシステムの改善に取り組んでいます。さらに、誰もがインデクサー、デリゲーター、キュレーター、サブグラフ開発者として参加することができ、それぞれに経済的なインセンティブが与えられています。
Web3のビジョンに対する、認識と理解の急速な高まりには、本当に驚かされました。インターネット上で社会を再構築し、権力や意思決定、リソースをコミュニティや個人に分散させることができることを人々が理解するようになり、私たちは今、ルネッサンスの真っ只中にいるといえるでしょう。
アーティストやクリエイターは、NFTを通じて自分の作品や流通させるためのチャネルを所有しています。NFTは、トレーディングカードのように取引可能なデジタルコレクターズアイテムであり、クリエイターに新たな収益化の機会をもたらします。
また、DAOは、新しいガバナンスツールとプログラム可能なマネーを使って、人々の協力と組織化の方法を変えています。DAOは、暗号化された銀行口座を持つオンラインチームのようなもので、メンバーのルールはデジタルコントラクトによって自律化・自動化されます。人々は、ソーシャルメディアプラットフォームが情報の流れをコントロールする力の所有権に気づき、ユーザーが自分のフィード、ソーシャルチャンネル、デジタルアイデンティティをコントロールできるようにする、新しいweb3ソーシャルDappsが開発されています。私たちはこの技術を試している初期段階にありますが、社会に与える影響は、今後、非常に大きいものになるでしょう。
Web3のユースケースが増えていく中で、過去の過ちを繰り返さないためにも、Web3と中央集権的なWebとの違いを忘れてはいけません。Webのプラットフォームは、プロトコルスタックを使って構築されています。これは、都市が道路、橋、水道管による細かな基盤構造の上に構築されているのと同じようなものであると考えることができます。Web3は、分散型アプリケーションのための新しいプラットフォームです。Dappsは完全に分散化されたプロトコルスタック上で動作しなければならず、Dappsを使用するためにインターネット企業を信頼する必要はありません。中央集権的な要素は、人々を囲い込み、市場で優位に立つために悪用される可能性があります。独立した検証可能性とオープンなAPIによって信頼の必要性を排除することで、Web3のユーザーはコントロール、相互運用性、個人の自由を得ることができます。
私たちは、Web3を謳うアプリが、実際に（真の意味で）分権化されていることを要求しなければなりません。
The Graphコミュニティは、来年に向けてWeb3スタックの抜本的な改善に取り組んでいます。コア開発チームは、開発者が完全に分散化されたスタック上で素晴らしいユーザーエクスペリエンスを構築することを容易にするための新機能に取り組んでいます。これらの機能が何を意味しているのかわからなくても、コミュニティに参加して開発の影響を確認することができます。
サブグラフ・コンポジションとデータ・パイプラインにより、データソース間でデータをリンクしたり集約したりするサブグラフの構築が容易になります。また、並列化により、インデックス作成のパフォーマンスが大幅に向上し、データの取り込みがより速くなります。GraphQL APIが更新され、開発者はリレーショナルデータへのクエリをより強力に実行できるようになります。Graphは拡張性のために、複数のブロックチェーンやレイヤー2のインデックスをサポートするように拡張されています。
Ethereum互換のネットワークに加えて、NEARのサポートが最近開始され、Solana、Cosmos、Polkadotの統合も予定されています。また、Web3では、ストレージネットワークやピアツーピアデータベースなどの場所からオフチェーンデータにアクセスする必要があります。The Graphは、オフチェーンデータとオンチェーンデータの世界をつなぐ役割を担っており、このような構成と統一は、NFT、DAO、Social、DeFi、そして将来のweb3のあらゆるユースケースに対応するフル機能のAPIを構築するために重要なものとなります。
The Graphの分散型ネットワークは、インターネットのインフラサービスの提供方法を一変させるものです。独立したノードオペレーターの大規模なネットワークを持つことで、データへのアクセスが常に高速で、信頼性が高く、安全であることを保証します。
現在、1日あたり15億件以上のクエリがホスト型サービスを経由しており、分散型ネットワークへの移行も進められています。そして、コミュニティは、サブグラフの公開やキュレーションなどのプロトコルメカニズムの改善に積極的に取り組んでいます。これらの分野のアップグレードはテストされ、ガバナンスプロセスを経て進められています。各変更が統合されれば、分散型ネットワークをホスト型サービスと同様に簡単に利用できるようになるでしょう。その後、コミュニティは残りのサブグラフを分散型ネットワークに移行する作業を行っていきます。各プロトコルの改良と新しいサブグラフの機能を組み合わせることで、全てのWeb3開発者は成功を収めることができ、世界中のすべての公共の知識や情報を分散型の方法で整理して提供するグローバルグラフを構築するために必要なツールを得ることができるでしょう。
来年は、新たな変革の年になるでしょう。Web3スタックは、世界最大の課題を解決するための新しいプラットフォームを暗号起業家に提供しています。人々は、社会への貢献を評価する方法を再構築するために、新しい調整方法を見つける準備ができています。この分野のすべての活動を見ると、私たちがそれらのビジョンを達成可能な速度に達したことは既に明らかです。
今は、とてもエキサイティングな時代です。もしあなたが参加したいと思っているなら、まだ間に合います。Web3革命はまだ始まったばかりです。
