今回は、11月までに開催されたKusamaオークションでスロットを獲得した4つのプロジェクトの概要をご紹介します:
Composable Finance:Picasso
Picassoは、PolkadotベースのプロジェクトComposable FinanceのKusamaバージョンです。Composableという言葉が、プロジェクトの内容を示唆しています。このプラットフォームでは、開発者は、異なるL1およびL2レイヤーにまたがるDeFiアプリを構築し、展開することができます。
展開可能なプロジェクトとして、Ethereum、Avalanche、Fantom、Polygon、Harmony One、BSCなどのEVM(Ethereum Virtual Machine)上で動作するブロックチェーンや、Terra、Osmosis、GravityなどのEVM以外のプロトコルが、現段階で既に含まれています。
DeFiにとって、相互運用性は依然として大きな課題となっています。あるチェーンから別のチェーンにアセットを送信するためのブリッジングソリューションはありますが、理想的には、後から一つ一つのブリッジを統合するために時間を費やすのではなく、最初から複数のチェーンで動作するDeFi dAppsを構築したいものです。
Composable Financeは、独自のCross-Chain Composable Virtual Machine(XCVM)とMosaic SDKと呼ばれるアセットブリッジングツールキットによってこれを実現しています。実際、Composableは自らを「ハイパーリクイディティ・インフラストラクチャー・レイヤー」と位置づけており、L1とL2の異なるネットワークにDeFiアプリを展開するための、シンプルで開発者フレンドリーなシステムを提供しています。
Picassoは、サポートされている全てのネットワークとその上に構築されたdAppsを、Acala、Snowfork、Hydraなど、Polkadotの主要プラットフォームに接続します。Picassoには、開発者が必要とする中核的なインフラが最初から実装されており、オラクル(Apollo)、DeFiトレジャリー標準(Cubic)、レンディングプロトコル(Angular)のほか、さらに多くのツールがまもなく登場する予定となっています。
Kusama初期のオークションのスロット獲得プロジェクトの中には、多くのDeFiプロジェクトが含まれています(Karura、Bifrost.Finance、Calamari、 Heikoなど)が、Composable FinanceとPicassoは、相互運用性レイヤーでそれらのプロジェクトにはない、新しいものを提供しています。
Bit.Country:Bit.Country Pioneer
Bit.Countryは、Polkadot Kusamaエコシステムにメタバースというトレンドの新風を吹き込みました。Bit.Countryは、Play2Earnの仕組み、NFT、3D空間を備えた、ユーザー独自のメタバースを構築することができます。
メタバースとは、「universe(宇宙)」「meta(超える)」から来ています。つまり、宇宙を超えて存在する仮想空間を意味します。この言葉が一般的になったのは、ニール・ステファンソンの小説「スノウ・クラッシュ」で、未来の人々がほとんどの時間をバーチャルリアリティの中で過ごすという設定を発端とします。
バーチャルリアリティ(VR)はメタバースの重要な一部ですが、メタバースのコンセプトはもっと広く、インスタントコミュニケーション、エンターテインメント、AI、ブロックチェーン、NFTなど、さまざまなものから成り立っています。例えば、チャットやゲーム、パフォーマンスの鑑賞、デジタルグッズの作成や取引などを含む空間の中で、没頭して過ごすことができる巨大なソーシャルネットワークだと考えてください。
メタバースは非常に大きなトレンドとなっており、FacebookはMetaと改名され、NYSEではMVRSというティッカーで取引されることになっています。Facebookが自社のメタバース・プロジェクトに数十億ドルを投じることは、この分野に大きな好影響を与えることになるでしょう。実際、メタバースの市場規模は、2028年までに8300億ドル近くまで成長すると予測されています。
取引所に上場しているメタバース関連の資産は、既に100種類を超えています。その中には、Axie Infinity(AXS)、Decentraland(MANA)、Veracity(VRA)、Wilder World(WILD)などがあり、2021年には10倍、100倍にも評価されています。私たちのPontem Networkも、メタバースの金融インフラを構築しており、間接的にこのカテゴリーに入ります。
メタバースでは、開発者でなくても誰でも、自分のコミュニティやTelegramグループ、Twitterのフォロワーなどのために小さなメタバースのような空間を作ることができたら、どんなに面白いでしょうか?Bit.Countryを使えば、この全てが実現します。
Unique Network:QuartzがKusamaに高度なNFTをもたらす
Quartzは、KusamaにNFT(ノンファンジブル・トークン)をもたらします。サブストレート上のNFT開発は遅れており、注目すべき例外としてはRMRKくらいです。しかし、KusamaとPolkadotは、低手数料、高速処理、相互運用性のおかげで、実際にはNFT資産に最適です。
Quartzは、これまでにない多くの機能やトリックを可能にする予定です。
Quartzは、PolkadotをベースにするUnique Networkのインセンティブ・テストネットであり、KaruraがAcalaのテストネットであり、MoonriverがMoonbeamの実験の場として機能するのと同様です。
Unique Networkは、2020年に開催されたHackusamaというイベントで、Build a Blockchain ChampionとCommunity Choice Winnerを受賞しました。そこでのチャレンジの結果、SubstrapunksというSubstrateにネイティブNFTコレクションが登場しました。
Genshiro
Genshiroは、ユーザーが資産を貸し借りしたり、取引したり、イールドファーミングによる収益化を可能にするDeFiプラットフォームEquilibriumのカナリアネットワークです。この取引アプリは、既にSubstrate上のスタンドアロンプロジェクトとして稼働しており、EthereumやBinance Smart Chain(BSC)へのブリッジが活発に行われています。アクティブな市場にはETH、BNB、DAI、GENS、BUSDなどがあります。
GenshiroのTVL(total value locked)は330万ドルとまだかなり小さいですが、多くのDEXやレンディングプラットフォームにはない複数の特徴があります:
証拠金取引(最大20倍):BinanceやFTXなどの中央集権的な取引所で成功しているトレーダーは、利益のほとんどをレバレッジ取引で得ています。取引所の資金をレバレッジとして活用することで大きなポジションを持ち、利益を倍増させているのです。分散型取引所のシステムでレバレッジを導入することは容易ではありませんが、Genshiroはこれを成功させています。一度に利用できる最大の証拠金率は、市場の状況に応じてアルゴリズムにより決定されます。
リミットオーダー:リミットオーダーは、特定の価格で約定するように設定する機能で、スリップという価格や時間のラグが生じることがあります。UniswapやPancakeSwapなどでは、その時点の価格(アルゴリズムによって算出される)でしかトークンを交換することができません。特定の価格を求める場合は、手動で市場を監視する必要があります。Genshiroでは、実際の取引所のように、価格の設定を可能にしています。
コラテラルバスケット:レンディイング用のdAppsの大半は、借り手がいくつかのサポートされた資産のうち1つを担保として預けることを要求し、担保比率は通常高い(融資額の150%以上)のが現状です。Genshiroでは、バスケット資産を担保にすることができるため、単一のトークンやコインを大量に保有する必要がありません。