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Blockchain BradとIngo Rübeによるインタビュー:Web 3.0に必要なクレデンシャル情報とは (Part 1 )


Blockchain BradとIngo Rübeによるインタビュー:Web 3.0に必要なクレデンシャル情報とは (Part 1 )

著:KILT Protocol

Brad Laurie氏とIngo Rübe氏との幅広い対談の第1部では、以下のトピックはこちらで取り上げられています。

Brad [00:00:06] こんにちは、ブラッド・ローリーです。今日はKILTプロトコルの創設者兼CEOのIngo氏とお話できることを光栄に思います。本日はKILTに関してまだ知られていないことや、実際に構築しているもの、そしてこれまでに構築してきたものについて説明してもらいます。

では、まずは認証情報についてお話しをお聞きしましょう。これは非常に複雑なテーマです。Web 3やブロックチェーンの文脈で、なぜ認証情報を調査する必要があるのでしょうか?

1. クレデンシャル

Ingo [00:01:09] クレデンシャルは皆さんが知っているものであり、皆さんもたくさん持っていると思います。通常、それらは紙かプラスチックでできています。例えば、IDカードもそうですし、運転免許証もそうです。また、大学の学位を持っている人は、大学からの紙の証明証書を持っています。これがクレデンシャルです。また、ドアや車を開けるための鍵も、クレデンシャルです。クレデンシャルは基本的に私たちの身の回りにありますが、通常はデジタルではなく、物理的なものです。私たちは、デジタル・アイデンティティの側面からこのことを探っていました。

2. アイデンティティ

Ingo [00:01:43] デジタルシステムにデジタルアイデンティティが必要であることは、誰もが認めるところだと思います。誰とやり取りしているのかを知る必要があるからです。例えば、あるサービスが、実際にはそのサービスのふりをしている詐欺なのかどうかなどを知る必要もあります。つまり、アイデンティティには大きなニーズがあるのです。アイデンティティについて少し調べてみると、これは2つのものから構成されていることがわかります。まず必要なのは、識別子です。例えば、Ingoは私のための素敵な識別子です。なぜなら、私はこの場で唯一のIngoであり、Bradが「Hi Ingo」と言えば、それが私を表すものであることがわかるからです。しかし、これは単なる識別子であり、私自身の内容について何も語っていません。つまり、これはアイデンティティではないのです。これはただの識別子なのです。卵にQRコードを付けたり、パッケージに番号を付けたりするのと同じです。それ自体は何も表さない、ただの記号なのです。

これがアイデンティティとされるには、更に付け加える必要があるのです。では、自分のアイデンティティはどのように成長するのでしょうか。実際には、証明書によって成長します。例えば、私はヨーロッパ人であり、ヨーロッパのパスポートを持っていることで、ヨーロッパ人として証明されます。このパスポートには、私のIDが記載されています。Ingoと書かれています。これがこの人間がインゴである示すことができ、これはアイデンティティの一部です。また、私は車を運転します。だから私は車を運転するための証明書を持っています。また、私はここで会社を経営しており、商業登記簿を見てもらうことでそれを証明できます。また、私は大学の学位を持っていますが、新しい仕事を探すときには、これを見せて経歴を証明することができます。これらにより、相手は私が何をしていて何ができて、例えば、コンピュータサイエンス分野では役に立ちそうだと信頼してくれるでしょう。このように私のアイデンティティは成長していくのです。

デジタル・アイデンティティを実現するためには、識別子を持ち、全員に付与するだけでは不十分です。クレデンシャルを付与し、そのクレデンシャルをデジタルで表現しなければならないのです。その為には、検証可能なクレデンシャルをデジタル表示して、それを識別子にリンクさせる必要があります。識別子とクレデンシャルを合わせて、アイデンティティを形成します。これは人のアイデンティティである場合もあります。また、機械のアイデンティティであることもあり、IOTデバイスアイデンティティであることもあります。また、ソフトウェアで実行されているだけのサービスのアイデンティティにもなります。つまり、デジタル・アイデンティティを構築するためには、これらの認証情報が必要なのです。そうでなければ、ただの識別子になってしまい、これでは誰の役にも立ちません。

3. 検証可能なクレデンシャルのユースケース

Brad [00:04:31] ブロックチェーンの分野では、すでにDID、分散型のデジタル識別マーカーが実際のユースケースとして登場しています。しかし、まだあまり登場していないのが、先ほどのクレデンシャルという要素です。現実のビジネスやアプリケーション、更に重要なことには政府機関に至るまで、Ingo氏によればこのWeb 3の分野での適用方法は実に無限大だということです。これはブロックチェーンは革新のために不可欠なものなのです。

Ingo [00:05:16] 私たちが行っているのはプロトコル開発です。プロトコル開発を行う場合、特定のユースケースを念頭に置いていないことは常に非常に賢明なことでもあります。

ティム・バーナーズ=リーのことを考えてみてください。彼はhttpプロトコルを発明しました。今では、httpを基にした利用で自転車を売ることができます。これは彼の目標ではなかったでしょう?つまり、プロトコルを開発する場合は、何百万ものユースケースに対してオープンなものでなければなりません。そうでなければ成功しないでしょう。

そして、この考え方は非常に良いアイデアだったことがわかっています。というのも、今ではベースとなる技術が世の中に出回っているからです。私たちが思いつかないようなユースケースが次々と出てきており、例えば、食品中のアレルゲンの証明書を作ることができないか、というような話も出てきます。私たちはこのプロトコルを開発する上で、そんなこと考えたこともありませんでした。また、遺伝子情報を保存しないで、悪用されないようにする遺伝子サービスを作りたいという人も現れました。このように、私たちの身の回りには様々なユースケースがあります。素晴らしいのは、私たちがプロトコルの構築に集中し、誰もが使えるように柔軟性を持たせることで、周りの人々がユースケースを自発的に構築していくことです。

Brad [00:07:05] 私はこれにとても興奮しています。なぜなら、KILTプロトコルは、多くの点で、KILTプロトコル自体に固有のものではなく、本当に無限のユースケースのために、資格情報がアイデンティティと連携するTCP/IPに相当するものだからです。その意味で、このプロトコルの普遍的な可能性に関連するいくつかの用語、例えば、自己主権、匿名性、検証可能性や検証の側面についてお話しを聞いていきたいと思います。

4. SOVEREIGNTY

Ingo [00:07:44] では、まず主権について説明しましょう。今日のインターネットを見ると、主権は最も重要なことのひとつだと思います。ここが、Web 2とWeb 3の大きな違いです。Web 2のデジタルアイデンティティを見ると、このアイデンティティは基本的に大企業が保有しています。名前は挙げませんが、大半がアメリカの企業です。これはどのような仕組みになっているのでしょうか?巨大なソーシャルネットワークにログインする場合、実際に選択するのはユーザー名とパスワードで、これが前述の識別子です。そして、そのユーザー名が既に使われていないか、パスワードが十分に長いかどうかなどの条件を調べます。問題がなければ、「これがあなたのユーザー名とパスワードで、あなたの識別子となります」と言われます。

ここでの問題は、相手(その企業)も自分の秘密を知っているし、自分も自分の秘密を知っているということです。実際には、共有の秘密を持っているのです。セキュリティの観点から見るとあまりいいことではありません。次に何が起こるかというと、あなたがこのソーシャルネットワーク上で行動し始めると、データが集約されます。このデータの集約が実は認証情報なのです。これはあなたの行動であり、あなたの行動履歴はあなたではなくそこに集約されるのです。そうなると、セキュリティ上非常に危険な状態になります。ハッカーにとっては巨大なハニーポットとなるのです。

もうひとつは、このソーシャルネットワークに多くの力が集約されていることです。ソーシャルネットワークは、メッセンジャーサービスもあります。メッセンジャーサービスにログインするには、自分のIDやソーシャルネットワークで取得したIDを使うことができます。それはとても便利です。しかし、最終的にその全てが1つのデータベースにまとめられ、彼らはより多くの情報を手に入れ、それを販売したり悪用したりすることができてしまいます。そこには非常に大きな危険性が潜んでいます。

5. TRUST & TRUTH

Brad [00:10:22] いきなりですが、信頼性(トラスト)という言葉の意味でお聞きします。DeFiブロックチェーン分野ではこの単語をよく耳にします。

Ingo [00:11:03] これは人々が頭で理解しなければならない複雑なことだと思います。私たちがブロックチェーンでやっていることは、トラストレス(信頼不要の)システムを作ることです。トラストレスシステムとはどういうことでしょうか?トラストレスとは、基本的に、信頼を数学的な真実と交換することです。つまり、私がビットコインを持っていて、残高にビットコインが表示されている場合、これは数学的に計算されたものです。これは私のビットコインだと確信できます。これが真実です。銀行に1ドルを預けている場合、私はそこに残高を見ることができますが、銀行のデータベースが実際にうまく機能していて、1ドルを現金か何かで返してくれるということを信用しなければなりません。これが信頼です。

つまり、ブロックチェーンの中には真実のシステムがあり、ブロックチェーンの外には信頼のシステムがあるのです。それを表明することができるわけです。しかし、私たちの文化では、ある種の信頼が必要なのです。そして、このような信頼は、エンティティによって表されます。これは基本的に、人生の最初の段階から始まります。最初は親を信頼しますよね。その信頼から逃れることはできません。

12年後には、反抗期を迎えてこの信頼を疑うようになるかもしれませんが、最初の12年間は、ただひたすら親を信じてます。その後、私たちは機関を信じるよう教育されます。裁判官を信じる人もいれば、政府を信じる人もいる。大学を信用することもある。これは、私たちの文化から消えることはありません。例えば、ここで働きたいという従業員がいてその人が大学の学位を見せてくれたら、私はそれを見て、この大学は良い大学だ。この大学が彼を認めているのなら信用しよう。そしてこの従業員の立派な証明書という名の紙切れを確認して、ここで働いてもらいたいと思うのです。このような私と大学の間の信頼関係は、新しい技術が導入されたからといって、おそらくなくなることはないでしょう。

そして、クレデンシャルを導入したいのであれば、そうした構造があることを認識しなければなりません。ですから、大学にその機会を与えなければなりません。私と大学の間の信頼関係は、現実の世界で起こっていることです。これは信頼関係であり、基本的にブロックチェーンとは関係がありません。しかし、実際には自分で大学の卒業証書を作って、偽物を見せることもできます。

これをブロックチェーンで防ぐことができます。なぜならば、KILTはこのクレデンシャルのハッシュをブロックチェーンに保存することができるからです。そして、これこそが私たちが見つけ出すことのできるものであり、私たちが真実を生み出すことのできる場所なのです。

Brad [00:14:04]ブロックチェーンで証明でき、コードで証明できる有限の信頼という意味で、これまでになかったレベルのシステムです。人やシステムを信頼するのではなく、より良い方法であることは間違いなく、あらゆるシステムの未来のためになります。

あなたがおっしゃった素晴らしいことは、ブロックチェーンの信頼性の高い設計が、チェーン自体によって証明・検証可能であり、さらに社会で絶対的に必要とされる認証情報と結びつくことで、真の価値ある相乗効果が得られるということです。これは本当に革新的なことです。世界的に見ても、まだ開拓されていない可能性を秘めていると思います。

6. ANONYMITY

Brad [00:14:50] あなたはまた、主権、つまり自己主権の重要性にも言及しています。しかし、匿名性についてはどうでしょうか?特にブロックチェーンムーブメントの初期には、政府が匿名性を嫌う傾向にありましたが、あなたは匿名性をどのように考慮しているのでしょうか。

Ingo [00:15:11] 匿名性にはさまざまな種類があり、提供する方法もさまざまだと思います。例えば、現実の世界を例に挙げてみましょう。私はバーに入りたいのですが、そのためには18歳でなければなりません。そこで私は、財布の中にある証明書の中から運転免許証を選びます。そして、これを用心棒に見せます。用心棒は実際に写真を見て、証明書が対象者と一致していることを確認する必要があります。また、私が18歳であるかどうかを確認するために、当然ながら生年月日も確認します。そして、私の名前を知る必要はありません。だから、私は名前の上に指を置いても、彼は私を入れることができます。私が誰かはわからないけど、18歳だということはわかりますよね。これを選択的開示と呼んでいます。

これは私たちが提供しなければならない匿名性の一部であり、KILTが提供できるものでもあります。ですから、もしあなたがクレデンシャルを持っていて、これに4つの異なるものが入っていたら、どの部分を見せるかを選択することができます。これが1つのポイントです。もう1つ重要なことは、検証者や用心棒に知られずにまた何かを証明することが可能でなければならないということです。これは様々なDeFiアプリケーションで必要とされており、我々も実装したものです。私はあなたのところに行って、猫を飼っていることを証明します。次に私は戻ってきて「おい、俺は猫を飼っている」と言います。あなたは、その2回現れた人物が猫を飼っていることはわかっても、それが同一人物であるかどうかは証明できません。これは、ブロックチェーンプロジェクトでも特に必要とされることです。

そのためには、匿名性を確保する必要があります。そして、そのようなシステムが一般に受け入れられるためには、それが必要なのです。そうでなければ、誰でも自由に読むことができてしまい、データセキュリティにも適合しません。自分のクレデンシャルに対する主権があれば、ブロックチェーンベースのシステムでも、現実世界のシステムでも、例えば本物の財布でも、誰にどのクレデンシャルを見せるのか、クレデンシャルのどの部分を見せるのかを自分で選択することができます。

7. SOCIAL KYC

Ingo [00:18:50] 私たちが既にすでに目にしているものの中にも、非常に大きな可能性を秘めたものがあると思います。KYCについては、世界的に見ても本当に考え直さなければならないことの一つだと思います。誰もがKYCに不満を持っています。これは、各国の法律が異なることと関係しています。これは、DeFiの現場で毎日のようにKYCを行っている人にとっては、非常に煩わしいことであり、この為に何かをしなければなりません。KILTはそれを解決するプロジェクトの一つです。

私たちはSocial KYCというプロジェクトにも取り組んでいますが、これは本当に重要なものになると思います。つまり、LinkedInアカウント、Twitterアカウント、Riotアカウント、Githubアカウント、メールアドレスなど、さまざまなアカウントにアクセスできることを証明するということです。つまり、さまざまなアカウントへのアクセス権を証明することができます。このプロセスにあなたがどこに住んでいるかは重要ではありません。でも、もしあなたがTwitterやLinkedIn、3~4つのソーシャルネットワークに登録していて、メールアドレスや電話番号を知っていれば、誰と取引しているのかがわかりますよね。もし、あなたがこれらすべてのアカウントを管理していることを証明できれば、あなたと一緒に仕事をしていると確信できますよね?その方がずっと価値があると私たちは思います。

8. OPEN SOURCE

Ingo [00:22:20] 私たちが行っていることは100%オープンソースです。ですから、私たちが制作するものも常にオープンソースです。だから、リリースされると同時に、それもオープンソースになります。これは、ブロックチェーンの世界では必要な要素だと思います。ブロックチェーン上に何かを構築しても、それがオープンソースでなければ、そこに罠を仕掛けていないかどうか、実際に誰が信用するでしょうか?それは前提条件です。ブロックチェーン関連のプロジェクトで、クローズドソースのコンポーネントを持っているところはあまりないと思いますし、実際に私も信用していません。

Brad [00:22:54] では、KILTはチームとして、このプロトコルをどのように活用しているのでしょうか?

Ingo [00:23:15] 私たちは、他の誠実なブロックチェーンプロジェクトと同様、独自の通貨を生産することで資本を得ます。それが私たちの仕事です。私たちは、人々からライセンス料やデータ料を受け取り、それを後で売るようなことはしません。また、サービスを提供するつもりもありません。なぜなら、オープンソース・プロジェクトは、インテグレーターがいるときに最も効果を発揮すると思うからです。私たちは過去にそれを経験しています。成功したオープンソースプロジェクトは、オープンソース製品、つまり我々の場合はKILTプロトコルに集中しています。

そして、その周りには、素晴らしいサービスを構築したいと考える優秀なアイデアを持った人々がいて、彼らは独自のビジネスモデルを持っています。そのような人たちに、実際にソフトウェアを作ってもらう必要があるのです。そして、彼らがソフトウェアを使ってお金を稼げるようになり、その上でさまざまな、複数のビジネスモデルが可能になるはずです。私たちは非常に小規模で、自分たちのコーナーにとどまり、KILTプロトコルを構築しています。

9. A UNIVERSAL PROTOCOL

Brad [00:24:59] CEOやファウンダーと話をしていると、彼らの頭の中には、プロトコルを作るだけではなく、プロダクトを作ることもできるのではないか、という考えがあるようです。膨大な量の仕事をしている中で、そのようなことを考えたことはありますか?これは世界共通のプロトコルです。しかし、後になって、他の人たちと同じようにプロトコルを使用できるように、いくつかの側面を社内で民営化する可能性はありますか?

Ingo [00:25:42] 今はプロトコルで十分なことがあるので、これはやっていませんが、多くのブロックチェーン企業がそうであるように、私たちにも2つの部分があります。財団と商業企業です。財団は常にプロトコルを管理しています。しかし、私たちには商業的な部分もあります。商業部門は、後でサービスを構築するために絶対に自由です。しかし、今はそのような時間はありません。でも、来年には何かが起こるかもしれません。

しかし、実際には、この会社には何のアドバンテージもありません。他の会社と同じソースコードを持っているのだから。もし私たちが、KILT認証用のウォレットとしてサービスXを作ると言っても、他の誰かがもっと良いものを作るかもしれません、それは普通の競争ですから。私たちには何のアドバンテージもありません。

10. DECENTRALIZED IDENTITY FOUNDATION

Ingo [00:27:42] 私たちはDecentralized Identity Foundationに参加していて、そこには100社以上、200社くらいの企業が参加していると思います。私たちのような小規模なブロックチェーン企業だけでなく、IBMマイクロソフトのような大企業も含まれています。私たちは全てそこで組織されています。私たちは、非中央集権的なアイデンティティのアイデアを、他の小さな企業と競うのではありません。本当の大企業であるGAFAと競争しているのです。もし、私が15人の小さなチームでGAFAに対抗しようと言っても、おそらく成功しないでしょう。

そのために必要なことは、まず我々がどのようにそれを行うかについて合意し、次にユーザーに対しても同じようにそれを行うことなのです。つまり、認証情報とDIDが同じように見えるようにしなければなりません。そのため、2017年には全ての企業を集めて、たとえ競合他社であっても、お互いに互換性があるように規格に合意しなければならないと話し合いました。この分野には多くの企業があり、それぞれが他とは少し違う差別化を図っています。しかし、あなたが財布に入れているクレデンシャルは、基本的に他のものと互換性があるべきです。そうでしょう?

これは非常に重要なことで、そうでなければ勝つことはできません。私たちは皆、たとえMicrosoftIBMであっても、勝つには小さすぎるのです。ですから、自分たちの強みを結集して、少しずつ異なるユースケースに参入したり、異なる業種に参入したり、その分野に特化したりしなければなりません。例えば、私たちは匿名性を提供することに長けているかもしれませんし、他の企業はそうではないかもしれません。また、私たちはブロックチェーンの世界においてはIBMよりも長けているかもしれません。しかし、最終的にはクレデンシャルはクレデンシャルなのです。

Brad [00:30:14] 世界的な標準化の話は、メインストリームや、あなたがおっしゃったマイクロソフトのような企業の主要プレーヤーにも及んでいました。では、なぜマイクロソフトは小さな企業による産物であるKILTプロトコルに注目したのでしょうか?彼らには何のメリットがあるのでしょうか?互恵的、相互的な利益とは何でしょうか?というのも、失礼ですが、彼らはお金も力も資本もあり、中央集権的なシステムも持っています。しかし、彼らが持っていないのは、あなたが築いてきた長年の経験なのです。では、あなたはゲームの先を行っていて、彼らはそれに追いつき、そのためにあなたと一緒に仕事をしているのでしょうか?それとも他の狙いがあるのでしょうか?

Ingo [00:31:23] このDecentralized Identity Foundationの初期には、人を集めて標準化に取り組もうという純粋な狙いから始まったことだったと思います。つまり、一緒に何かをすることで、より大きな存在になるということです。マイクロソフトでさえも十分な規模ではありません。彼らは私たちを必要としています。私たちだけではありません。私たちだけでなく、200社の企業も必要なのです。

私たちが行ったのは、World Wide Web Consortium(W3C)に標準化プロセスです。今では誰もがテーブルにつき、それぞれのアイデアを持っています。そして、マイクロソフトも私たちと同じように、この問題について発言することができます。そして、全員が標準化団体に行き、アイデアを持ち寄り、出てきたものが標準化なのです。そして私たちは事前に、何が出てきてもそれに同意すると言っています。それが私たちのやったことです。

クレデンシャルやデジタル・アイデンティティで行うことは、次世代のインターネット、通常はWeb 3と呼んでいますが、そのために必要なベースレイヤーだと言えるでしょう。 それにはさらにいくつかのものが必要です。しかし、その一つがアイデンティティです。ですから、デジタルアイデンティティを自己主権的に行うことができなければなりません。これは絶対に必要であり、避けては通れない道です。

インフラや、Polkadotのように専用のユースケースに合わせてブロックチェーンを生成できるようにするなど、Web3というもっと大きなものの中のビルディングブロックにすぎません。また、FilecoinやIPFSのように、分散型のストレージが必要な場合もあります。インターネットの世界を変え、Webの新しいシナリオを実現するためには、これらの要素がすべて揃わなければならないと考えています。

Brad [00:34:23] まだまだ説明したいことがたくさんありますので、続けましょう。あなたとお話しできることはとても楽しいです。あなたの経歴について簡単に触れておきたいと思います。皆さんにもう一度理解していただきたいのですが、あなたは日常の仕事から転身してこれを作ったわけではありません。あなたには多くの経験がありました。ご自身のことを少しだけ紹介しておきましょう。

11. INGO’S BACKGROUND

Ingo [00:35:06] そうですね、あらゆる勉強を修了した後、90年代に最初のスタートアップをしました。それは今とは全く違う分野である医療情報学でした。そして、2000年にこの会社を売却しました。その後、産業界に入りました。12年ほど大企業に身を置くことは、私にとって非常に健全なことでした。私は主に巨大な出版社やメディア企業と仕事をし、そこで産業界でのキャリアを築きました。その後、私は両方を見てきました。小さな会社や技術を見てきましたが、それだけでなく、実際にどのようにビジネスを構築していくのか、人々がどのような考え方をしているのか、実際に何を求めているのか、どのように彼らと話をすればよいのかを見てきました。このような知識は、本当に貴重なものです。

そして、ブロックチェーンの話が出てきたとき、私はこの技術を理解、これは私の人生における大きなチャンスだと思いました。ビジネスを構築する方法も知っていますし、周囲の環境も知っています。この業界のニーズもわかっている。そして、私は正しいことを勉強したので、ブロックチェーンシーンの人々と話すことができ、彼らから尊敬されています。そこで何かを作ってみては?そして、私はCTOとしての日常業務を離れ、「よし、今度は実際に世の中の役に立つものを作ってみよう」と話し合ったのです。

12. KILT USE CASES

Brad [00:37:13] ご存知のように、ブロックチェーンと暗号が一緒になって暗号空間として知られるようになった今、実用性やユースケース、適用されて役に立つという点での本当の証明性は、今日でも稀であり、宝石のようなものです。あなたは実際に、ブロックチェーンについて知る必要のない日常的なユーザーに適用され、役に立つものを本当に持っていると確信していますか?

Ingo [00:37:51] KILTのコンセプトは、一攫千金を狙って何かをするのではなく、何か役に立つことをするというものです。つまり、使用することが重要なのです。私たちが下した決断の多くは、実はこの「利用」という点に基づいています。

そこで私たちは、デジタル・アイデンティティが非常に興味深いものであることを知りました。また、誰もがデジタルパスポートについて話しており、それがどれほど便利なものかということもわかっていました。実際、エッジケースでは役に立つかもしれませんが、政治家と話をしていると、実際のところ、彼らに任せていたら今後10年は実現しないかもしれません。なぜなら、政治家や政府は現在、ID利権を独占しており、それを手放そうとしないからです。

公平を期して言えば、ほとんどの人にとっては現状のものはうまくいっています。一方でパスポートを持っていない人や難民などにとっては、いい形で機能していません。

私のパスポートはうまく機能しているので、その面ではシンプルなプラスチックのカードを、本当に複雑なテクノロジーで置き換える必要はありません。オーストラリアやドイツに住んでいる人に説明するのはとても難しいことです。しかし、インターネット上のサービスやモノに対して検証可能な証明書を持つことは、産業界において非常に大きなニーズがあることがわかりました。なぜなら、私たちが持っている唯一のデジタル・アイデンティティ・メカニズムはOAuth2であり、これは基本的にGAFAがデータを集中管理するために使用しているものだからです。私には理解できませんが、認証情報が自分自身ではなくアメリカの大企業に保存されていても問題はないように思えます。

13. WHY POLKADOT?

Ingo [00:39:59] これを変えることは必要ですが、これは最大の必要なユースケースというわけではありません。私が製品を作り、その製品がクレデンシャルを所有している場合、クレデンシャルは製品の価値の一部となるからです。もし、このクレデンシャルやクレデンシャルの有効性が私ではなく、Facebookやその他の人にあるとしたら、制作会社としては受け入れられません。彼らはそれを必要としているからです。そこで、完全に分散化されたマシンが必要になるわけですが、そこに信頼は必要なく、そこに必要なのは真実です。つまり、そこにはブロックチェーンが必要です。ここにブロックチェーンを使うことで真に役に立つものを作ることができるのです。

しかし、ブロックチェーンの運用には不安定な価格推移という面が障害として誕生します。ここでHyperledgerなどのパーミッションブロックチェーンを導入して、価格を予測できるようにしようと考えた場合、残念ながらその場合、システムの中に真実があるとは言えませんよね。そこにはジレンマがあります。

2018年にPolkadotに移行したのは、基本的にこの問題をPolkadotが解決してくれるからです。Polkadotはこの問題を解決する唯一の技術だと思います。というのも、これはパラチェーンリースと呼ばれるもので、小さなブロックチェーンを構築して、ガス価格を予測することができるからです。そうすれば、その上に生産コストを乗せることができます。

しかし、Polkadotリレーチェーンに自分のブロックを送り、彼らに検証してもらうことができ、そこには真に完全なパーミッションレスのブロックチェーンが存在するとも言えます。このようにして、数学的な真実と、私が必要としている価格の安定性が得られます。私たちは本当に役に立つものを作ろうとしていますし、後にそれを使う人たちと一緒に今後も考えています。そして、彼らがこの方法ではうまくいかないと言ったときには、潜在的なユーザーの要求を実際に満たすことができる技術を使用するか、または技術を選択するのです。

そして、実際に素敵なコミュニティであることもわかりました。Polkadotコミュニティには、非常に優秀な人材が集まっていることがわかります。この点でも、私たちは非常に満足しています。イーサリアムなどと比較すると、比較的小さなコミュニティの中で人々と話したり、交換したりするのはとても気分がいいものです。比較的小さなコミュニティには、新しいアイデアを出してくれる聡明な人たちがいて、ポジティブな方法で批判もしてくれます。

14. XCMP and POLKADOT RELAY CHAIN

Ingo [00:45:56] ベースレイヤー技術を実現するためには、KILTプロトコルを使って相互に接続することが重要です。そのためには様々な方法があります。業界のプレーヤーには、基本的に彼ら自身のリソースを利用できるように、その上に素晴らしいJavaScript SDKを提供します。通常、大企業にはJavaScriptの開発者が存在しますからね。その上でKILTアプリケーションを構築し、私たちはそれをカバーしなければなりません。

クロスチェーン・メッセージング・プロトコルであるXCMPが登場したことは非常に喜ばしいことです。これにより、Polkadotのエコシステムに参加している他のプロジェクトと、安全性の高い方法でリレーチェーンを通じてネイティブに会話ができるようになります。これからの展開にとても期待しています。この技術は全く新しいものです。また、このエコシステムの初期段階に参加することは素晴らしいチャンスだと思います。

このエコシステムに参加することで、プロジェクトにとってリレーチェーンを介したコミュニケーションが価値のあるものであることを示すことができるのは私たちにとって素晴らしいことです。

Brad [00:48:04] そうですね。さて、暗号に関しては、意味のない、ただの誇大広告や人気取りの戯言のようなパートナーシップが多く見られます。しかし、そうでないものも見受けられます。なぜそのような提携が行われたのかを調べれば、すぐにその違いがわかります。

興味深いのは、それ自体が有用であり、他の中核的なレイヤーワンソリューションやレイヤーワンの基盤技術とのインターブロックチェーンやインターマルチチェーンのシナリオで有用な、文字通りあらゆる高品質のイニシアチブと提携できる可能性があることです。また、メインストリームのすべての範囲外であっても、あなたが言及した互換性や、あなたが構築している同盟関係を利用することができます。まずは小規模なものから始めましょう。Polkadotのアリーナ、Polkadotの可能性についてです。あなたが築いている関係やパートナーシップの意味や重要性について、もう少し詳しく教えてください。彼らにとっての相互利益は何なのか、なぜ彼らは「はい、パートナーになってください」と言うのか。なぜなら、それが起こっているからです。それが今、繰り広げられているのです。

Part2に続く…


KILTは、自己主権型の検証可能で取り消し可能な匿名のクレデンシャル情報を発行し、Web3.0におけるトラストマーケットのビジネスモデルを実現するブロックチェーンプロトコルです。

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